二つ返事でハードル走に参加することを了承した。ジョリーン選手のコーチも「ケガをしないよう、注意して参加するのであれば」と参加許可を出した。
実際にハードル走に出場したジョリーン選手を捉えた動画には、スタートラインに立ち、カメラに向かって笑顔で手を振る彼女が映っている。スタートの合図が響くと、“本職”のハードル走の選手たちが一斉にスタートダッシュを切り、軽やかに次々とハードルを飛び越えていく。そんな中、一番端のコースを走るジョリーン選手のスピードは駆け足程度で、ハードルの前で減速すると片足ずつハードルを越えている。
他の選手との差が大きく開いていくが、今回は順位ではなく出場すること自体に意味があるため、ジョリーン選手はケガをしないようにいくつものハードルを慎重に、しかし確実に飛び越えていく。その結果、ジョリーン選手は1位の選手から約19秒遅れの32.81秒でゴールした。最下位であった。しかし、このジョリーン選手に対し、他の選手たちはハイタッチをしたり握手をしたりしてその健闘を称えた。
ベルギー国内の大会で12度もチャンピオンに輝いた実力を持つジョリーン選手は「ちょっと怖かったですし、ハードル走はあまり好きな種目ではないですね」と本音を打ち明けたが、普段のトレーニングで時折、ハードル走をしていると報道されている。また、「本当は歩いて参加しようと思っていたのですが、アドレナリンが出て少し走ってしまいました」とも話しており、チームメイトや観衆の声援が大きな励みになったという。
この映像がネット上でシェアされると大きな話題を呼び、「これほど最高なチームメイトが他にいるか?」「私だったら最初のハードルで顔から転びそうだ」「素晴らしい決断だよ」「真のスポーツマンシップを持った選手だ」「素敵なストーリーだね」など、ジョリーン選手の行動に大絶賛の声が寄せられた。
国内大会で何度も優勝経験を持つジョリーン選手だが、今回大きな注目が集まったことに「こんなに有名になったのは初めてですよ。本当にびっくりですね」と喜んだ。「たくさんの素敵なメッセージが届いていて、信じられないです。本当に驚いています。この瞬間をもう少し長く楽しみたいですね」と、ジョリーン選手は予想外の大反響の余韻を楽しんでいるそうだ。
今大会はベルギーにとってトップリーグ残留が掛かった大事なものであったが、ジョリーン選手のこの貢献だけでは勝ち点が足りず、16か国中14位となり、トップリーグからの降格は避けられなかった。
ちなみに昨年5月には、徒競走でスタート直後に靴が脱げてしまった7歳少女が、履きに戻るも諦めずに走り1着でゴールした瞬間を捉えた動画がネット上で拡散され、大きな話題を呼んでいた。
画像は『The EOC: home of the European Games & EYOF 2023年6月25日付Instagram「What lengths would you go to help a teammate out?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)