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writer : flynn

【海外発!Breaking News】頭部と同じサイズの腫瘍を持つ胎児、帝王切開中の救命手術で無事誕生(南ア)

手術中に羊水が噴出して胎児やへその緒が子宮から押し出されたり、胎盤が子宮壁から剥がれるのを防ぐために羊水の量を減らすように調整することにし、子宮から1リットルの羊水を針で抜く羊水穿刺ドレナージを行った。帝王切開による部分分娩が行われ、胎児の頭、首、右腕が切開部分から慎重に取り出され、腕に鎮静剤が投与された。そして2人の専門医が胎児の口の中にチューブを入れて新しい気道を確保し、人工呼吸ができるようにした。巨大な腫瘍が口の周りにあることから慎重に進められたが30分以内に完了することができ、2021年12月10日に無事出産した。赤ちゃんは女の子でアイボリー(Ivoreè)と名付けられた。まだ巨大な腫瘍がついたままのアイボリーちゃんは、生後5日目に小児外科チームによって腫瘍除去手術を行うこととなった。

キアラさんにとって一番辛かったのは、生後2日目のアイボリーちゃんに会うことだった。アイボリーちゃんを見て「頭の中が真っ白だった」と明かしており、キアラさんより先にアイボリーちゃんに会っていたチャールズさんは「口についていた腫瘍は頭と同じ大きさでした。腫瘍が取り除かれた後、娘の口の半分がなくなってしまうのではないかとすごく心配しました」と当時を振り返る。しかし両親の心配をよそに手術は無事終了、アイボリーちゃんは普通の赤ちゃんと同じ姿になり、2か月ほど入院した後に退院した。今回の出産を成功させたチームの1人であるエステ・スワルト医師(Esté Swart)は「私たちの知る限り、この種の腫瘍に対するEXIT手術は南アフリカで初めてのことです」と今回の手術の成功を語った。

生まれた時は2.5キロしかなかった体重も、『YOU』が取材に訪れた時には3.7キロに増えていたというアイボリーちゃん。しかし顎がうまく使えないため哺乳瓶を使うとエネルギー消費が激しく、アイボリーちゃんのお腹の中に栄養チューブを挿入するPEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)を造設し、固定されている栄養チューブに注射器を取り付けて食べ物を胃に送っている。ただアイボリーちゃんの成長は目覚ましく、日に日に哺乳瓶の使い方が上手になっているので、この調子でいけば生後6か月でPEGはいらなくなるのではないかとみられている。

この成長ぶりには医師も驚いており、今後は軟口蓋を修復する形成外科医や下顎が少し短いためそれを修復する専門医とも話を進めていくとのこと。医療チームから「まだまだ困難な旅が続く」と言われているが、キアラさんやチャールズさんは「この子のために必要なことは何でもします、アイボリーが幸せで健康である限り」と前向きな姿勢を見せている。

画像は『YOU – News24 2022年2月25日付「Cape Town baby born with a giant tumour in her mouth is now thriving after groundbreaking surgery」(PHOTO: Misha Jordaan)』『IOL News 2021年12月29日付「Tygerberg hospital performs groundbreaking and first of its kind treatment for a rare foetal abnormality」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

頭部と同じサイズの腫瘍を持って生まれてきたアイボリーちゃん(画像は『IOL News 2021年12月29日付「Tygerberg hospital performs groundbreaking and first of its kind treatment for a rare foetal abnormality」』のスクリーンショット)

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