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writer : tinsight-iruy

【海外発!Breaking News】患者の脳から摘出された寄生虫、生きた状態での発見に担当医も驚愕(豪)

外部の専門家に助けを求めた。

オーストラリア連邦科学産業研究機構(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)の寄生虫に詳しい研究者のもとへ、生きたままの摘出した寄生虫を送ると、その正体は“オピダスカリス・ロベルティ(Ophidascaris robertsi)”だと分かった。

オピダスカリス・ロベルティは回虫の一種で、通常はニシキヘビで見つかるという。今回寄生されていた患者は、この寄生虫がヒトに寄生した世界初のケースとして記録された。この患者はカーペットニシキヘビが生息するエリアに住んでおり、ヘビと直接的な接触はなかったものの、湖の周辺に自生していたオーストラリア原産の植物「ワリガル・グリーン」などを採取して料理に使っていたという。

医師や研究者らは、ニシキヘビが糞便を介して回虫を植物にまき散らし、患者がその植物に触れたことでその卵がキッチン用品などに付着したか、あるいはその植物を食べたことで寄生虫に感染したと推測している。

サンジャヤ医師によると、患者の肝臓など他の臓器にも幼虫が寄生している可能性があったため、幼虫を駆除する治療も必要だったそうだ。しかしこれまでに同様の症例がなく、薬によっては幼虫が死滅する際に炎症を起こすことも考えられた。こうした炎症は脳に悪影響を及ぼす可能性あり、細心の注意を払って治療が行われた。

医師らの懸命な治療のおかげで患者は快方に向かっており、現在も経過観察を行っている。サンジャヤ医師は「患者さんは可哀そうでしたが、とても勇気のある素晴らしい方でした。ニシキヘビに寄生する回虫に感染した世界で最初の患者になんてなりたくないとは思いますが、彼女はよくやってくれました」と手探りながらの治療に耐えた患者に賛辞を送った。

また患者の女性は免疫不全に陥った既往歴があり、この既往歴が体内に幼虫を定着させた可能性がないか、研究者らが調査を行っている。

サンジャヤ医師は「この世界初の症例は、病気や感染症が動物からヒトへ移る危険性を浮き彫りにした」と考えており、以下のように述べた。

「この30年で、世界で30の新しい感染症が発生しています。世界的な新興感染症のうち、約75%は動物からヒトへ感染する人獣共通感染症で、これにはコロナウイルスも含まれます。」

「今回見つかったオピダスカリスはヒトとの間では感染しないため、新型コロナウイルス感染症やエボラ出血熱のようなパンデミックを引き起こすことはありません。今回の“オピダスカリス・ロベルティ”はオーストラリアの固有種の寄生虫でしたが、オピダスカリス系の他の種類の寄生虫が各地でヘビに寄生し生息しているため、今後数年のうちに他の国々で同様の症例が確認される可能性が高いでしょう。」

ちなみに今年2月には中国で、瞼の下で蠢く糸状の寄生虫の様子を捉えた動画が公開され、人々を驚かせていた。

画像は『New York Post 2023年8月28日付「Worm discovered living in woman’s brain in world’s first case: ‘It’s alive!’」(CDC)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

手術を担当した外科チームは、患者の脳の中に寄生虫を発見した。慎重に摘出すると、その寄生虫はウネウネと動き、生きている状態だった(画像は『New York Post 2023年8月28日付「Worm discovered living in woman’s brain in world’s first case: ‘It’s alive!’」(CDC)』のスクリーンショット)

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