極小の機械モデルや構造物を作る際によく使用される「二光子重合法」を用いた3Dプリント技術を使って作られた。ミスチーフは「大きなハンドバッグ、普通のハンドバッグ、小さなハンドバッグがありますが、これはバッグの小型化における最終形態です。ハンドバッグのように、かつて機能的であったものが小さくなるにつれてそのステータスはますます抽象化され、ついには純粋にブランドを象徴するだけのものとなるのです」とバッグ制作の意図を述べている。
また制作過程で3Dプリントを行ったメーカーが複数のサンプルをミスチーフの制作チームに郵送したのだが、その際にいくつか失くしてしまったというエピソードを、米スミソニアン協会が発行する月刊誌「スミソニアン(Smithsonian)」が明かしている。
このバッグは、米歌手兼プロデューサーのファレル・ウィリアムスが設立したオンラインのオークションハウス「Joopiter」で出品され、6月28日に6万3750ドル(約920万円)で落札された。バッグにはデジタルディスプレイ付きの顕微鏡が付属しているため、落札者はこの顕微鏡を使うことでバッグのディテールを楽しむことができるそうだ。
ミスチーフは以前から奇妙なものを制作することで知られており、過去には防錆潤滑剤「WD-40」の香りがする香水や、巨大なシリアルなどを作っている。さらにナイキの靴を改造した人間の血入りのスニーカーやヨルダン川の聖なる水を入れたスニーカーを作り出したこともあり、無許可で行ったために裁判でナイキと争った過去も持つ。
なお今回、米ニュースメディア『CBS News』はこのバッグについてルイ・ヴィトン社に問い合わせたが、今のところ同社からのコメントは得られていないという。
このバッグが落札されたことが各メディアに報じられると、「冗談だよね?」「いったい何のために…」「床に落としてしまったら終わりだね」「なんてバカバカしい」「これを買った人は『自分は金持ちだけど、お金の使い方が分かりません』って言っているようなものだよ」など、呆れる声が相次いだ。
ちなみに2020年には、イギリスの芸術家が制作したゴミ袋のようにしか見えないアート作品が700万円以上の価格でオークションに出品されていた。
画像は『MSCHF 2023年6月15日付Instagram「Microscopic Handbag by MSCHF」、2022年12月20日付Instagram「Big Fruit Loop.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)