顎や顔面の治療を専門とする獣医師、野生動物の健康を専門とする教授、研修医、画像診断専門家、獣医学部学生、獣医看護学生、そして同動物園のゴリラ保護官とそうそうたる顔ぶれで構成された。
フィッテ博士が「このような施術は、一人の獣医師が扱うには極めて複雑」と語ったように、ビンガの歯の治療には専門家を必要とし、また麻酔下にあるゴリラを観察するため、心臓の超音波検査を行う画像診断の専門家も欠かせない存在だった。フィッテ博士は賢さと力強さを併せ持つゴリラの扱いの難しさを強調し、「驚異的な記憶力と警戒心を持つビンガが、治療で体を固定されることを私と結びつけて考えられないようにしたかったのです。それで、良い行動に即座に報酬を与え、その行動を強化する『ポジティブトレーニング』を行いました。このトレーニングは、ビンガのような動物がストレスを最小限に抑えて獣医の治療を受ける準備をし、動物と医療チーム双方の安全性を高める大きな役割を果たします」と説明した。
専門家たちが見守る中、全身麻酔を受けたビンガの抜歯手術は成功した。
ビンガは現在、健康で痛みもない状態だ。手術に携わった顎や顔面の治療の専門家であるカトヤ・コエッペル教授(Katja Koeppel)は、「ビンガがメッセージを伝えられるとしたら、きっと『歯磨きを忘れずに』と言うでしょうね」と笑いながら述べた。
画像は『IOL 「Gorilla gets dental procedure」』『University of Pretoria Facebook「Binga, a 23-year-old silverback gorilla from the Pretoria Zoo」』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)