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writer : tinsight-masumi

【海外発!Breaking News】落雷を受けて才能が開花 ピアニストになった整形外科医の男性(米)<動画あり>

後にそれが晴れたようになると彼の頭の中で変化が起きた。なぜかクラシック・ピアノの音色を聴きたくなり、その欲求は日増しに強くなっていったという。

なおトニーさんは7歳の頃に母親の勧めでピアノを習ったが、興味がなかったため1年でレッスンをやめてしまったそうだ。そのうえ今まではクラシックよりロック系の音楽を好んでいたが、落雷をうけてからは、時間が空きさえすれば有名ピアニストのウラディーミル・アシュケナージが奏でるショパンをずっと聴いていた。

そしてトニーさんは、とうとう自分でピアノを弾きたいという思いに駆られ始めた。当時幸いにもベビーシッターが古いピアノをトニーさん宅に一時保管して欲しいと申し出たことにより、トニーさんはピアノを弾くことができた。それから数か月後に、トニーさんは自分がコンサートホールでピアノを演奏する夢を見た。

夢の中でトニーさんが弾いた曲は、今まで聞いたことのない曲だった。彼はベッドから飛び起きると、夢で弾いた曲をピアノで弾いて音符に書き記そうとしたが、その術を知らなかったことで後に初心者向けのピアノの本と楽譜を購入したという。

不思議なことに、その日から毎日のように夢で演奏した曲がトニーさんの頭の中に流れていた。彼はその曲を楽譜に書き留め「稲妻のソナタ(The Lightning Sonata)」とタイトルを付け、音楽研究家の友人に聞かせた。そのトニーさんのピアノ演奏は素晴らしいものだったそうだ。

トニーさんのことを知ったイギリスの神経学者オリバー・サックス氏から、執筆中の著書のなかでトニーさんについて紹介させて欲しいと連絡があった。これをきっかけにトニーさんが落雷を受けてからピアノを弾くようになったことが知れ渡り、後にニューヨーク州立大学音楽部の部長から「ニューヨークのパフォーミング・アーツセンターでピアノのリサイタルをして欲しい」と依頼があった。

トニーさんはリサイタルに備えるため、ピアノの先生に連絡を入れ毎日4時間以上練習した。そして2008年1月29日のリサイタルの当日、トニーさんは見事なピアノ演奏を披露したのだ。この時、会場には英メディア『BBC』、『Granada plc』やドイツの国営テレビ局『ZDF』が来て彼の演奏を撮影していた。トニーさんのピアノの腕前は世界に知れ渡り、プロのピアニストとしてデビューすることとなったのだ。

トニーさんはYouTubeチャンネルのプロフィールの中で、サヴァン症候群について触れている。生まれつき自閉症やその他の発達障害のある人が、その障害とは対照的に優れた能力を発揮する人がサヴァン症候群であるのに対し、彼の場合は中枢神経系の怪我や病気によって並外れた能力を発揮する「後天性のサヴァン症候群」と紹介している。

画像は『VICE 2020年5月13日付「This Guy Got Hit By Lightning and Became a Concert Pianist」(IMAGE COURTESY OF TONY CICORIA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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