イスラエルで1980年代に存在が明らかにされ、昨年から発掘調査が進められていたある宮殿の遺跡の地下室から、3000本ものワインを貯蔵していたとみられるワインセラーが出土していたことが明らかになり、大きな話題となっている。
イスラエルで1980年代に多国籍考古学者チームによって発掘されたのが、中東青銅器時代、具体的には紀元前1700年から1600年にかけてカナン人により建てられたと思われる宮殿。昨年から「Kabri Archaeological Project」という名のもと、そこで本格的な発掘調査が行われるようになり、中庭の地下から大規模なワインセラーが発見されたことが話題になっていた。
大きな40もの土器のワイン壺が発見されたことについて、米考古学者のアンドリュー・コー氏は『smithsonianmag.com』に、「当時、地域に配給が行われていた食糧や物資にワインなどありませんでしたから、その宮殿の主人が個人的に収集し、重い壺の運搬や整頓は地域の労働者たちにやらせる、そんな権力の象徴ともいえるワインコレクションだったのでしょう」と説明している。このワインセラーは中東全地域で発掘されたものの中でも類をみない古さであり、現代のワイン瓶3000本分を収容できるほどの規模だという。
ゴラン・ハイツ・ワイナリーの、“Yarden”ブランドが世界的に好評で注目を浴びているイスラエル。紀元前6000年頃に醸造が始まったと言われるワインの歴史においても、良質なブドウが収穫されるイスラエルは世界でもかなり古くからワイン作りが行われていた国のひとつ。このたびその宮殿で発見された壺の表面からは薬草、ベリー類、はちみつほかの成分が検出されており、カナン人の時代からすでに洗練された風味のワインを楽しんでいた可能性が高いという。
※ 画像はsmithsonianmag.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)