19日、米ABCの人気ダンスコンテスト番組『Dancing with the Stars(DWTS)』の新シーズンがスタートし、女性から男性へ性転換を遂げたシェールの元娘、チャズ・ボノ(42)が、ダンスパートナーのレイシー・シュウィマー(23=写真右)と共に華麗な「チャチャチャ」を踊って見せた。ジャッジや視聴者の投票を総合しての結果は「セーフ」で、見事2回戦への勝ち残りが決定した。
「子供も見る番組に、性転換者が出ることはいかがなものか」との論争が巻き起こり、『DWTS』史上最も論議を呼んだコンテスタントであるチャズ。番組冒頭のミニ自己紹介ビデオでは、「私はチャズ・ボノ。DWTS史上初の性転換者です。というのは、女性の体に産まれたのを、男性に転換したということを意味します。」と包み隠さずモノローグしてみせた。
ダンスした12組の「トリ」を飾ったチャズとレイシーのペアは、60年代のモータウンの名曲『Dancing in the Street』に合わせ、息もピッタリ。審査員の一人、日系振り付け師のキャリー・アン・イナバ(43)に「チャズ、あなたが登場するとダンスフロアが明るくなったわ。あなたのダンスをもっともっと見たい!」と言わしめた。
会場にはチャズと6年交際している婚約者のジェニファー・エリアさん(写真円内)も駆け付け、彼のダンスを固唾をのんで見守った。チャズが無事踊り終わると、カメラは彼女が惜しみない拍手を送りながら、感動で大粒の涙を流している姿を映し出した。チャズは「とってもジェニーらしい。彼女はエモーショナルな女の子だからね。」と芸能番組『Extra』で語っている。
会場には来なかったものの、テレビで「息子」の晴れ舞台を見守っていたのが、母のシェール(65)だ。ツイッターにパフォーマンスを見ての興奮をぶちまけた。「ワオ、私の息子は何て素晴らしかったのだろう! 一番良かった! 一番よ、誰が何と、何と言おうと一番だったわ。彼が勝者よ! 私、とってもナーバスだったわ。」
米同性愛者擁護団体の『Gay & Lesbian Alliance Against Defamation(GLAAD)』では、「アメリカ人達が昨夜見たものは、チャズが素晴らしいチャチャチャを踊って見せた、ただ一人の平凡な男性に過ぎないということ。」「これはダンスコンテストなのですから、視聴者はチャズを“性転換者である”ということではなく、リズム感でジャッジしてくれるよう期待します。」という声明文を出し出演を称えた。GLAADでは公式ウェブサイトやソーシャルメディア上で、チャズを応援するよう呼びかけるキャンペーンを行い、彼をサポートして行くという。
一方、性平等権の訴訟などを多数手がける著名弁護士のグロリア・オールレッド氏(70)らは、チャズの『DWTS』出演を祝って19日、LGBTコミュニティーのメンバーを集めたダンスパーティーを開いた。芸能サイト『TMZ』によると、ウェストハリウッドのゲイバーで行われたパーティーでは、オールレッド氏が男性から女性への転換者、女性から男性への転換者らと次々に踊り、「性転換したチャズが踊るのをTVで見ても、子供達に悪影響にはならない。」とのメッセージを伝えた。
一方で、保守系団体などの間で盛り上がるチャズへのボイコット運動を受け、「ヘイター」達のフィジカルな攻撃を警戒し、ABCでは彼のためにセキュリティーを強化したと伝えられている。チャズ本人も「(この問題に関して)決して黙らせることのない人々が確かに存在するね。」と認めている。
白熱したコンテストの1回戦で、結局、チャズ&レイシーのペアは30点満点中17点をスコア。視聴者の投票を加味して20日に明らかになった最終結果では、番組2回戦への進出が見事決定した。「世界平和」に改名したNBAのLAレイカーズ、ロン・アーテスト選手(31)らのペアが毎回一組ずつ選ばれる落選組となり、番組を去った。2回戦以降のチャズの善戦に乞うご期待だ。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)