全米で大人気のダンスコンテスト番組『Dancing with the Stars』への出場が決定し大きな話題を振りまいているのが歌手シェール(65)の娘、いや息子のチャズ・ボノ(42)である。彼の出場を決定したTV局に対しては賛否両論が巻き起こっているが、このたびその撮影に対し厳戒態勢が敷かれることが決定したという。
女性として生まれたチャズ・ボノが性転換のプロセスに入ったのは2008年のこと。2010年5月には法的にも全てがクリアとなり晴れて「男性」としての人生を再スタートさせている。にもかかわらず、そんなチャズを一男性として認識することに違和感を覚えるアメリカ人は非常に多いようだ。
チャズが『Dancing with the Stars』に出演することが決定するや否や、テレビ局には「そりゃあ、やりすぎだろう!」という抗議が殺到。インターネット掲示板の多くにはチャズやテレビ局を非難する書き込みがあふれ、ついには「息子を苛められて黙っちゃいられないわ!」と母シェールまで立ち上がるという異常事態となっているが、番組の撮影はどうにか無事に始まろうとしている。
そんな中、集中砲火を浴びているチャズに危害を加えられるのではと懸念しているのが米ABC。「大事な出演者に何かあっては大変!」と、特別に厳戒態勢を敷くことに決定したようだ。セキュリティーを配備するのは撮影中だけでなく、スタジオにいない時間もチャズの安全保護のため局は万全を期す予定らしい。米芸能サイト『TMZ』に対し、番組の代表者は「セキュリティーに関しては一切コメントしません」とのみ述べているが、そもそも具体的なセキュリティープランを語るような愚かなことを誰がするだろう。隙をつかれることのないよう徹底的にチャズを守ろうというABCの態度は立派であるといえる。
法的にも「男性」と認められたチャズが、男性として生きること。そんな簡単に思えることが実は難しいのがアメリカ社会の現実なのかもしれない。チャズとは違い、男性として生まれながら現在は女性として生きているセレブに、俳優デヴィッド・アークエット(40)の「姉」アレクシス・アークエット(42)がいる。
互いを認め合い仲良く暮らしていくこと。そんな簡単なことさえできない世の中は、なんとも哀しい気がする。
(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)