この神父の問いかけは職場での行為や雇用主への悪意の有無に集中していた。
同社のその他の違反についてだが、労働省賃金労働課の捜査官によると、タケリア・ガリバルディの経営者は週40時間を超える時間外手当を従業員に支払っていなかった。また本来は従業員で分けるはずのチップをレストランのオーナーが店長に支払っていたとして、労働法に違反していたことも明らかとなった。
さらにタケリア・ガリバルディ経営陣は従業員に対して、労働省賃金労働課の調査に協力しないことや、虚偽の情報を話すよう指示。仮に協力した場合には「報復を受け、入管に不利な結果をもたらす」と脅していたという。実際に、労働課に苦情を提出したと思われる従業員が解雇されたそうだ。
チェ・ガリバルディ社の経営者3人は、5月8日に行われた同意判決に合意し、35人の従業員に対して7万ドルの未払賃金の賠償と同額の損害賠償、計14万ドル(約2000万円)の支払いを命じられた。さらに今回の違反は「故意的な」行為だったとして、5000ドル(約72万円)の民事罰も科された。
裁判所は、従業員が労働者としての権利を主張するのを妨害しないことや、労働省の調査を妨害しないこと、捜査官と話したと思われる従業員を差別、脅迫、解雇しないことをチェ・ガリバルディ経営陣に命じた。
連邦賃金・労働時間調査官は「悪徳な雇用主が、労働者の賃金を引き下げるためにあらゆる種類の詐欺を試みるのを見てきたが、今回のケースは最も恥知らずなものかもしれない」と語っている。
なお、「ニセの神父」の身元についてはいまだ不明である。
サクラメント教区の広報担当者であるブライアン・ヴィジタシオンさん(Bryan Visitacion)は「問題の人物はサクラメント教区の司祭ではありませんし、その人物が誰であるかも知りません」と米ニュースメディア『The New York Times』に話している。
判決後、今回のニュースを知った人々はタケリア・ガリバルディのFacebookページやローカルビジネスレビューサイト「Yelp」に、1つ星のレビューや以下のようなコメントを残している。
「職場にニセの神父を連れてきて、人々から告白を引き出し、さらに彼らの給料まで盗むなんて。普通では考えられないような悪党だ。」
「従業員を『自白』させるためにニセモノの神父を雇うなんて。恥を知れ!」
「ニセモノ神父よ、今どんな気持ちだい?」
画像は『New York Post 2023年6月21日付「Restaurant hired fake priest to get sin ‘confessions’ from workers: feds」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)