アメリカ在住のミッチ・ハンターさん(Mitch Hunter、41)は2001年に顔を激しく損傷する事故に遭い、2011年に世界で3例目となる顔全体(フルフェイス)の移植手術を受けた。手術から10年が経ち、41歳になったミッチさんは昨年末にTikTokをスタート、自身の経験を率直に語り大きな反響を呼んでいる。
米インディアナ州に住むミッチ・ハンターさんは今から20年前、友人の男性が運転する車に乗っていて大事故に巻き込まれた。車は電柱に激突し、同乗していた女性が車から出た直後に高圧電線が落下。ミッチさんは女性を押しのけて救ったが、自らの体には1万ボルトの電圧が5分間流れ、左脚の膝から下と右手の小指、薬指を失い、顔に激しい火傷を負った。「事故30分前からの記憶は一切ない」というミッチさんは昏睡状態に陥り、事故から27日後に奇跡的に目を覚ました。
ミッチさんが顔の移植手術を受けたのは事故から10年が経過した2011年のことで、TikTokでは新しい顔を得るまでの10年を「地獄のような日々だった」と明かし、このように説明している。
「10年間で皮膚の移植手術を50回以上受けてね。あの時期が一番つらかった。別人のようになった自分がまるでゾンビのように思えて、事故から5年間は家から出ることもなかった。やっとのことで外出すると、僕の顔を見て子供たちが怖がるし、どこにいってもジロジロ見られ冷たい視線を感じた。事故で受けた脳の損傷と心的外傷後ストレス障害(PTSD)が、メンタルヘルスに大きな影響を及ぼした。正直なところ、体よりも心の回復に時間がかかったね。」
「顔の移植手術を受けたいと思うようになったのは、恋人が妊娠したから。生まれてくる子供に怖い顔を見せたくなかったんだ。」
こうして幸運にもドナーが見つかったミッチさんは2011年4月、マサチューセッツ州ボストンのブリガム・アンド・ウイメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital、以下BWH)でアメリカでは2例目、世界では3例目となる顔全体の移植手術を受けた。移植担当チームは医師、看護師など30人以上にもなり、14時間以上にわたる大手術となった。
TikTokではドナーについて多くの質問があり、