最終的にコンクリートの地面を壊して配水管をむき出しにする作戦を決行することになった。カメラのおかげでゾーイは入り口の部分から400フィート（約120メートル）の位置にいると把握できていたので、早速救助を開始した。

当時の様子がカメラで捉えられており、ドリルでコンクリートを砕いたり、専用のカッターでコンクリートに切れ目を入れたりして作業が続いた。当時は天気も良く真夏の太陽が照り付けており、作業員にとっても厳しい環境だが、水も飲めずに排水管の中にいるゾーイにも熱中症の危険があった。

一刻も早く救出したいところだが、コンクリートの地面を掘り起こすのは簡単なことではなかった。途中からは大きなショベルカーも出動して作業は急ピッチで進められたが、排水管を露出できた頃にはすっかり日も暮れて周囲は暗くなっていた。大掛かりで長時間に及んだ救出劇を近所の人々も心配して見守っており、ピザや水などを差し入れて救助活動を応援したという。

大きく重たい配水管に切れ目を入れてショベルカーで持ち上げ内部を確認すると、ゾーイは少し移動してしまっていたようで作業員が内部へ潜っていく必要があった。すると近所に住む幼稚園児のハンター君（Hunter）が、排水管の内部を進むのに使うスケートボードを貸してくれたという。

ハンター君の優しい申し出を受け、1人の隊員がスケートボードを使って中へ進んだ。そして戻ってきた隊員の手にはしっかりとゾーイが抱えられており、現場は拍手と歓声に包まれた。救出作業開始から10時間以上も経過していた大救出劇が、ようやく終わりを迎えた瞬間だった。

ゾーイはすぐに獣医のもとで診察を受け、深刻なケガが無いと分かるとアンドレアさんたちのもとへ無事に帰宅した。救出の間は「見ているのもつらいよ」とブレナンさんは気が気でなかったという。アンドレアさんは「奇跡よ。本当に奇跡。どうやって無傷で帰ってきたのか見当もつかないわ」とゾーイと無事に再会できたことに歓喜し、このように述べている。

「消防や警察は、私たちが考えている以上に称賛に値すると思います。今回のことは彼らにできる限りの支援や援助をすることが重要であると考える良いきっかけとなりました。」

「言葉にできないほど感謝しています。また同じようなことが起きないように、今回の事例が教訓となることを願っています。」

ちなみにハンター君が提供したスケートボードは、記念にレスキューチームのサインを入れてハンター君へ返されるという。消防隊員のクリスティ・ウェイルさん（Kristi Weil）は「ハンター君は熱心に私たちを手伝おうとしてくれていて、本当に心が温まりました」と語っている。

画像は『ArlingtonTx Fire　2021年8月24日付Facebook「We have a condensed video of the rescue operation to save Zoey, the 15-year-old dog stuck in the storm drain.」』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部　iruy）