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writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】妻と子供の命を奪われた男性、加害者と友情を築く(米)

停めていたマットの車に向かって歩み寄った。泣き崩れるマットに何も言わずハグしたエリックさんが、やがてマットに伝えたのはこの言葉だった。

「あなたのことを赦します。」

2人の命を奪ったマットにとって、事故の出来事は生涯消されぬ十字架として背負い続けなければならない。その罪とプレッシャーに苛まれ2年を過ごしてきたが、まさか遺族のエリックさんからそのような言葉をかけられるとは思ってもいなかったのだろう。事故当時のことを回顧しながら、マットはこのように話した。

「エリックさんにとってももちろんそうですが、私にとってもあの事故は一生忘れられない出来事になりました。今でも鮮明に事故の衝撃を覚えています。ガラスが割れた音や衝突の臭いなども…。私は、自分がEMT(救命救急士)として、そして消防士として悲劇の状況にいる人々を救う立場にありました。それなのにあのような事故を起こしてしまったのです。今でも自分が奪った2つの命のことを思うと涙せずにはいられません。でも、エリックさんは最初から私を『赦す』と言ってくれたのです。彼のハグが自分にどれほど大きな意味をもたらし、彼の言葉によって自分の人生がどれだけ救われたことか…あれほど安堵感を得たことはありませんでした。」

再会したその日、エリックさんとマットは2時間ほど語り合った。すると不思議なことに、予想もしない絆が2人に芽生えたのを互いに悟った。それ以降、定期的に会うようになった2人はそのたびに友情を深め合い、12年経った現在は兄弟のような関係になった。

12年の間には、マットは事故で唯一助かったフェイスちゃんのことも知るようになった。現在フェイスちゃんは12歳になっている。そしてマット自身も結婚し子供を授かった。エリックさんは12年の間にフロリダ州へ引っ越したが、2人の友情は続き、休みになると互いに会うことを繰り返しているようだ。

母を失った人生を歩んできたフェイスちゃんもエリックさん同様、マットのことを赦している。エリックさんはマットに「過去に縛られるなよ」と語ったそうだ。そんなエリックさんの言葉にマットは大きく救われ、人生に希望を与えられた。しかし、マットは涙を堪えながらこのように語った。

「エリックさんが私を赦してくれても、私は自分がしたことをこの先も赦せるかどうかはわかりません。今、私たち家族はとても近い存在になりました。フェイスが私の子供と遊んでいる姿を見ると大きな喜びを感じる一方で、やはり自分が奪ってしまった命を思い、胸が痛みます。でも、この辛さは私が一生背負っていかなければならないものです。これは決して美談などではなく、自分の不注意によって引き起こされた残酷な現実なのです。私は、死ぬまでその事実と葛藤していくことになるでしょう。自分によって母を奪われたフェイスについてはこの先、どんなことがあってもそばにいて守ってやりたいと思っています。」

現在、エリックさんには新しい妻ができ、その妻との間に子供も誕生した。その子は偶然にも、ジューンさんとの間に失った第2子が生まれる予定日に誕生したそうだ。

「ジューンは今、天国にいると私は信じています。いつか私たちはみなそこに行き、また一緒に過ごすことができるのです。」

大切な人を奪われた時、その悲しみや辛さを乗り越えることは決して容易ではない。まして赦すというという行為ができる人は多くはないだろう。しかしそれをしたエリックさんと、それにより救われたマット。2人の間に生まれた特別で不思議な友情の絆は今後もしっかりと育まれていく。

画像は『TODAY 2018年12月7日付「Forgiveness after the ultimate tragedy turns strangers into brothers」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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