【見た目は内面をも変えていく】
2013年にアメリカの支援団体が退役軍人でアルコール依存症のホームレスの男性にヘアカットをし、綺麗なスーツにネクタイを締めさせ鏡の前に立たせたところ、自信を取り戻し社会復帰をするきっかけとなったという事例もあります。このように見た目というのは、人の心も自分の心も動かすことができるツールなのです。
【役割の進化に見た目が置き去りになっていないか】
しかしながら、歳を重ねていくと「何を着ていいか分からない、何を着てもしっくりこない」という状況に陥ることがあります。特に女性に多いように思いますが、これは女性を取り巻く環境に一因があるのではと考えます。女性は、仕事、結婚、出産、など人生の一大イベントが二回も三回も起こり、“部下であり上司であり”、“妻であり嫁であり”、そして“母であり”、とその都度置かれた立場に応じて求められる役割が異なります。内面=役割がどんどん進化しているのに、身の回りの物やクローゼットの中身は置き去りにしたまま、ひと昔前の自分の印象を引きずる服を着続ける。その結果、周りから見たときになんだか違和感のある人になってしまうのです。
これは意外と自分では気づきにくく、特にいい大人が短いスカートをはいて若い時のままの服装をしていたりすると「イタイ人」と思われたり、見ているこちらもなんだか目が疲れてしまいます。その瞬間に「あの人はちょっと…」とまだ話してもいないのに印象が悪くなってしまうのです。
インナービューティーが注目され内面の美しさが重要視される昨今ですが、第一印象を決める見た目が置き去りになっていないか、そんな視点で今日は鏡を見てみてください。今の自分の内面(役割)と服装(見た目)がマッチしているかどうか、身近な人に聞いて見るのもいいかもしれません。
■樋口玲子(ひぐちれいこ)プロフィール
1973年 東京生まれ
R.H.mirror 代表
『樋口玲子のファッションを味方につける!』 https://ameblo.jp/rhmirror/
婦人服メーカー、フランスのインポートブランドを経て、1999年にジョルジオアルマーニジャパン株式会社入社。退職までの12年間で販売からPR、VMD、レディースの買付業務、店舗マネージャーを務める。退職後、男児を出産。
2015年トラストコーチングスクール認定講師の資格取得。2016年にこれまでの経験を活かしてパーソナルスタイリストとしてR.H.mirrorを立ち上げる。『ファッションを味方につける!』をモットーに、なりたい自分になるためのファッション講座、ファッションクルーズのサービスを提供中。それぞれのライフスタイルに合わせて上質なものとプチプラを賢く取り入れながら、個々の魅力を引き出すスタイリングを提案する。
(TechinsightJapan編集部 パーソナルスタイリスト樋口玲子)