男性の避妊といえば、パイプカットやコンドームなどが主流である。そんな中、イギリスで開発が進む男性用避妊薬は内服するか鼻にスプレーするだけという非常にシンプルなのもので、安全性が確認されれば男性による避妊がより身近なものとなりそうだ。
英ウェスト・ミッドランズ州ウルヴァーハンプトン大学の研究チームと、ポルトガルのアヴェイロ大学の研究者が共同で開発を進めているのが、精子の壁を通過することが可能な“ペプチド化合物”だ。ペプチドとはタンパク質を構成する単位であるアミノ酸が複数結合してできたもので、これが精子の動きを止める働きをするという。
プロジェクトを指揮するウルヴァーハンプトン大学のジョン・ハウル教授は「この薬の特徴はその即効性にある」と語り、以下のように説明している。
「薬を体内にとりいれて数分すると、精子のしっぽの部分の動きが止まり、精子が卵子に到達することが不可能となります。精子の活動を止めるというのは、全く新しいユニークな発想で、我々は今後の研究成果に多大な期待を寄せています。」
ちなみに女性用避妊薬であるピルの確実な避妊効果が現れるのは、服用後8日目以降と言われている。
また薬の避妊効果は数日だけで、子どもが欲しい場合にも早い対応が可能であるということだ。
ハウル教授は3年以内に動物を使った試験に入り、早くて2021年の実用化を目指しており、健康上の理由でピルを服用できない女性や避妊を望む男性などその需要はかなり高いのではないかと見込んでいる。
クリエイト不妊クリニック(CREATE fertility clinics)のギータ・ナーガンド医長は「この薬が安全で効果があると承認・実用化されれば、多くの女性に歓迎されるでしょう。これからは男性が避妊する時代になるということです」と語っている。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)