writer : sekihara

日本女性の「美」の変遷を奈良大学生が映像化 人物監修は『龍馬伝』の柘植伊佐夫氏

奈良大学の全学科横断 学生プロジェクト『美し記~utsukushiki~』が、各時代における「美」を研究・考察。その成果をぎゅっと凝縮して1分半ほどの動画に仕上げた。

プリズムのような建物 「今と昔が交差する場所」
動画『美し記 奈良大学』は、ある女性が暗闇の中で白く美しい建物に出会うところから始まる。そのプリズムのような建物「今と昔が交差する場所」で、女性はさまざまな時代で象徴される美しい姿に変化していくのだ。

古墳時代の独特な髪形が目を引く

まず登場する、前はリーゼントで後ろは一本に束ねて結んだ髪型は「古墳時代」だ。目の下の赤い三角形のメイクはインパクトがある。縄文時代とかけあわせた衣装は黒をベースに赤いステッチが入っていて素朴な中にも工夫が凝らされている。この時代を担当した文化財学科の学生は動画『美し記 制作過程ドキュメンタリー』の中で「高校生から“当時ってこんな鮮やかだったんだ。教科書と全然違うじゃん”と言われたことが嬉しかったです」と声を弾ませる。

谷崎潤一郎の『痴人の愛』に描かれるナオミをモデルにした大正モダンガール

続けて平安時代は文化財学科が源氏物語絵巻を参考に再現した。白塗りの顔について学生が「当時は恋愛対象の男性と夜に会う。自分の顔を白くして(電気のない暗い中で)相手の男性に見てもらいやすくした」と解説する。次に大正時代のモダンガール風の女性は、国文学科が谷崎潤一郎の『痴人の愛』に描かれるナオミをモデルに再現。奈良時代は史学科が薬師寺の「吉祥天像」や正倉院の「鳥毛立女屏風」を参考にした。最後に再び現代の女性に戻るが、シンプルなロングヘアにナチュラルメイクで着飾りすぎないのが特徴だ。

花鈿(かでん)と呼ばれるピンポイントメイクが特徴のひとつ 奈良時代

これらの再現に一役買ったのが、大河ドラマ『龍馬伝』『平清盛』、映画『おくりびと』『進撃の巨人』など多数の作品に携わっている柘植伊佐夫氏だ。人物デザイナーである柘植氏は、これまで多くの役者の衣装、ヘアメイク、小道具などの全体的なデザインを担当している。人物監修を務めた今回の動画でも、ヘアメイクのときに傍らに立ち、アドバイスしている姿が見られる。ある学生は、「研究した資料を基に柘植さん自身の視点から魅力をどんどん引き出していたところがすごいなと思いました」と驚いていた。

奈良大学 全学科横断 学生プロジェクト『美し記~utsukushiki~』は、公式サイト(http://www.nara-u.ac.jp/utsukushiki/)でも、プロジェクトの情報を随時公開中。制作過程ドキュメンタリー動画や、柘植伊佐夫氏へのインタビュー動画も視聴できる。

(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

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