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writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】白熱する旅客機の快適さ追求 座席は5センチ広く 可動式肘掛も(英)

「太っているから飛行機などに乗るのが恐い。周囲から白い目を向けられる」という人も少なくない現代。しかし旅客機の世界では今日も、そんな人でも快適に過ごせるよう次々と改良がなされているのだ。このほどイギリスで開催されたある航空ショーで注目を集めたのは…。

「この旅客機は座席も広々としていますから、大柄な皆さんにもゆったりと旅を楽しんでいただけます!」

こんな宣伝文句をPR担当者が高らかに謳っていたのは、英ハンプシャー州のファーンボロー空港でこのほど開催された「Farnborough International Airshow」という航空ショー。航空産業の各社が競い合うその見本市は毎度大きな注目を集めているが、今年の目玉はどうやらこちら。カナダの「ボンバルディア・エアロスペース」が開発を進めてきた新型旅客機「Cシリーズ」に改良を加えた、ゆったりしたシートまわりが特徴という「CS100」であった。

“ミドル・シート”と呼ばれる3列シートの真ん中の座席の幅は、ライバルのボーイング737が17.3インチ(約43センチ)、エアバスA319が18インチ(約45センチ)であるところ、この「CS100」 は19インチ(約48センチ)ある。窓際と通路側の座席の幅も18.5インチ(約47センチ)あるそうだ。同社の副社長ロス・ミッチェル氏は英紙『ガーディアン』とのインタビューで、数々の航空会社を訪ね歩いては、適切なシートのサイズについて質問を重ねてきたことを告白。「『18~19インチ(45~48センチ)は欲しい』との結論に至った」と述べている。ふくよか体型の乗客を意識してか、2012年にはエアバス社が通路側の座席の幅を20インチにするとの計画を発表していたが、これに刺激を受けた可能性もありそうだ。

またミッチェル氏は、「先月にはスイス・インターナショナル・エアラインズ(スイス国際航空)にさっそく『CS100』が納機されました。『CS100』『CS300』ほか『Cシリーズ』は今後20年にわたり7000機近くが製造され、航空各社からの発注を受けるものと確信しています」と話す。初フライトは7月15日、チューリッヒからパリのシャルルドゴール空港に向けて飛び立ち「最新技術を生かした大変静かな飛行と低燃費を実現しました。全125席のゆったりとした座席に是非とも注目してほしい」と添えていた。

右も左も太めな人ばかりというイギリスは、同機のお披露目にうってつけの地といった感があるが、体格の良さでいえばアメリカも同様。デルタ航空も次々と新型の旅客機を購入する計画を打ち出しており、今年4月には「CS100」を75機も注文。さらには、5.6ビリオン・ドル(約5,833億円)を投じて50機の追加購入も検討中だという。

その性能が上がるにつれ、旅客機はさらに遠くへ飛ぶようになり、同時にフライト時間も長くなる。今後は、そんなフライト中、乗客がいかに快適に機内で過ごすことができるかがとても重要になる。そこで機体やエンジンとは別にシートの構造に関しても実はさらなる改良がなされている。中でも注目を集めているのは飛行機や列車のシートを手掛けてきたロンドンの「Seymourpowell」社だ。同社は2013年11月に“モーフ(Morph)”という使い勝手のよいベンチタイプのシートの誕生を発表した。乗客には体格の良い男性もいれば小さな子供もいる。このようにスペースのニーズも様々であるという点に着目し、アームレストの位置を横にスライドさせることで3列シートに座る各人がそれぞれ理想のシート幅を確保できる仕様を開発した。

コストはかかるが乗客の「今回のフライトは快適だった」というレビューが何より欲しい各航空各社。様々な最新技術や開発内容がお披露目となる見本市には、各社とも懸命に目を光らせているもようだ。

出典:http://www.telegraph.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)