サイエントロジストにとってはありがたい環境であったに違いないが、コストをかけ、大勢の教師を雇ったわりには在校生があまりにも少なく、俳優ウィル・スミス夫妻が設立したある私立校がついに閉鎖されていたことが分かった。
ハリウッド俳優の中でも飛びぬけた資産を誇り、大豪邸に暮らしているウィル・スミス(44)とジェイダ・ピンケット=スミス(41)。夫妻はマリブの自宅からもすぐというカラバサスの丘陵地にあった高校が廃校すると、それを買い取る形で2008年に「New Village Leadership Academy(以下NVLA)」という私立校を設立した。
トム・クルーズとともにサイエントロジー教団の顔と言われているスミス夫妻。息子のジェイデンと娘のウィロウは、幼稚園や学校に通わずサイエントロジーが提供している自宅学習プログラムで勉強していたが、夫妻には自分たちの方針にあった共学の学校があればそちらに通わせたいという思いがあったことから、1億円近い資金を投じて幼稚園から8年生(中学生)までの児童・生徒が通える一貫校をスタートさせた。
当初、NVLAの校長であったジャクリーン・オリビエ女史はメディアに宗教色を否定し続けたが、その後サイエントロジー教団が信者に履修を義務付けている「スタディ・テクノロジー」を教育課程に盛り込んでいることが分かり、入学者は一気にサイエントロジストの子息にせばめられ学費など収益も減少。この校長は夫妻と衝突した末、2009年に解雇されている。
そして今年春、学年の修了を以てNVLAは閉校していたもよう。カリフォルニア州の私立校検索サイト『private-schools.findthebest.com』に提供された最終データでは、在校生はたったの61名。特に少ない6年生は2名、多い5年生でも10名というありさまで、教師と教え子の比率が1:3では完全に赤字であったはず。公式ウェブサイト『nvlacademy.org』もすでにクローズされていることが分かった。
在学生は転校を余儀なくされ、保護者共々ひどく困惑しているものと思われるが、大きすぎる校舎に少人数の子供たちが細々と通い、教師と毎日マンツーマンの状態というのも居心地は悪かろう。またわが子らは芸能活動が忙しくなり、卒業あるいは辞めてしまった。このことから、スミス夫妻がその学校をどうしても存続させたいという意欲を失ってしまったのではないかといった意見も出ているようだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)