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writer : ac

【海外発!Breaking News】バナナ絶滅の危機に? 欧州専門家ら「早急な対策が必要」と警告

1年を通じてスーパーに置かれ栄養価の高いバナナは、その手軽さから日本でも人気の果物だ。そのバナナに異変が起きているという。英『BBC』が伝えている。

1900年代半ば、世界で流通していた「グロスミッチェル」という品種のバナナは「パナマ病」というバナナを枯れさせてしまうカビの病気によってほぼ全滅に追いやられた。パナマ病に強い品種として注目されたのが日本でもお馴染みの「キャベンディッシュ」である。国際連合食糧農業機関によるとキャベンディッシュの年間生産量は5500万トン。世界に輸出されているバナナは1700万トンで、そのほとんどをキャベンディッシュが占める。

しかしここ数年、このキャベンディッシュにも新たなパナマ病が確認されているという。この新パナマ病は毒性の強いカビが根っこを枯らし、一度蔓延すると何年にもわたって農地が汚染されてしまうという厄介な病気で、台風での洪水や農場に出入りするトラック、人の靴についた土が運ばれることであっという間に拡散してしまう。これまでに1万ヘクタール、東京ドーム約2138個分のバナナ農園が閉園に追い込まれ、特にフィリピンでは壊滅的な被害が報告されている。現在は有効な予防策がなく、感染が確認された場合は農場を隔離し消毒や休耕といった措置がとられているに過ぎない。

オランダ・ヴァーヘニンゲン大学の植物研究者ゲルト・ケマ博士は、『BBC』のインタビューに「今すぐバナナがスーパーから消えてしまうわけではありません。しかし、今のところキャベンディッシュに変わる品種はありません。パナマ病に耐性のある種の開発など早急な対策が必要です」と述べている。しかしバナナは種から育てず株分けで大量に生産しているため、病気に強い新しい品種を作るとなると相当の時間を要するという。またキャベンディッシュ以外の品種のバナナはサイズや形に難があり味も単調だったりと、大半は地元で消費され輸出には至っていないようだ。

英グロスターシャー大学で科学コミュニケーションを専門とするアダム・ハート教授は、「バナナがなくなってしまった場合の経済的打撃は計り知れません。どんな手を使ってもバナナを守っていかなければならないのです」と語っている。バナナがスーパーから消える日はくるのであろうか。

出典:http://www.bbc.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)