writer : testjournalist

【ドラマの女王】第二のごくせんになれなかった「美咲ナンバーワン!!」が教えたこと。

11日に発生した東北地方太平洋沖地震から1週間が経過した。発生直後のテレビ業界は24時間報道番組一色だったが、各局少しずつ通常の放送に戻りつつある。
そんな中、16日に香里奈主演の「美咲ナンバーワン!!」(日本テレビ系)が最終回を迎えた。

六本木のNo.1キャバ嬢から教師に転身し、問題児ばかりが集まるクラスの担任に赴任。生徒たちと真っ直ぐに向き合い絆を深めていくストーリー。同じ枠で大ヒットした「ごくせん」(仲間由紀恵主演)と類似している。主演の二人が極道の娘か六本木のNo.1キャバ嬢だったかの違いである。クラスの中心グループにジャニーズの若手と注目株の若手俳優を起用するところも同じだ。共学である点が唯一違う点だろう。

美咲のモットーは「人間関係損得勘定抜きで動かなきゃ伝わらない」。だから真っ直ぐ言葉と行動で生徒と向き合う。そのため「ごくせん」のケンカのシーンのような見せ場もなく「それだけで納得してしまうの?」という場面もしばしば。
教師生命を懸けて生徒を進級させる、というお決まりの最終回も、モデルでもある香里奈を活かすためなのか東京ガールズコレクションのステージを借りて撮影するなど、あまり繋がりのない演出も多々あった。前半は進級を懸けた追試で生徒たちの奮闘する姿、後半は学校を辞めることになった美咲をどう助けるかが重点とされた。だが場面が飛び飛びで最終回なのに総集編を見ているような落ち着きのない仕上がりだった。この一話で二話作った方が感情移入もしやすかったのではないだろうか。

通常ならそれで終わったのだが、この連日の報道や余震で疲れた心には程よい笑いと感動だった。
思いっきり笑ったら不謹慎かもしれないと感情を上手く外に出せずにいる人も多いと思う。このドラマは「ごくせん」のように暴力シーンがあるわけでもなく終始明るいシーンが多い。深く考えずにクスリと笑えるところは笑い、泣けるところは泣く、見終わって疲れることもない。この最終回は凝り固まった感情をほぐす運動になったように思う。
震災の情報も自分たちで見極めることを求められている。しかし息抜きとして見るバラエティやドラマなども、どれが自分たちに合っているのか注意して選ぶことが求められているのかもしれない。そんなことを気付かされた。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)