writer : techinsight

【ドラマの女王】 相変わらず甘ちゃん、ほのぼのした“夜の世界”『帝王』

今回の【ドラマの女王】は塚本高史主演の『帝王』(TBS系)、関東では水曜日の24時29分、(関西では金曜日の24時)。“酒が飲めない”主人公が人情味でホストとして成功し、その後は伝説のキャバクラオーナーとなり、巨万の富?を得る。という、ギラギラしてるんだか爽やかなんだかよく分からない深夜のドラマ。エッチなシーンもあんまりなければ、バイオレンスも無し。「日本の“夜”は安全デス。安心して遊んでください。」とでも言いたいのか。

ホストクラブとキャバクラの二部制という仰天な経営をしていた店、「カサブランカ」が火事で燃えて、がめつい大家の大河内(竜雷太)はカンカン。火事から一ヵ月後、キャバクラ専門の店「サンライズ」として再開した店に現れる。他のホステスが接客を嫌がっているところへ、なにかと咲輝凌(塚本高史)と店の為に尽くしてくれる“姉さん格”キャバ嬢・絵里(安達祐実)が「私がおもてなしする。」と名乗り出た。
最初は気難しそうな大河内だったが、絵里の話術とフットワークの軽い凌の働きぶりにすっかり心を許し、また飲みに来ると約束。絵里のお陰で凌の“株”が上がる。

客の指名をめぐって大喧嘩するキャバ嬢の麻衣(橋本愛実)と奈保子(斉藤未知)を仲直りさせたり、いつもしっかりと落ち着いている絵里は、実はシングルマザー。その辺が実生活どおりなのだが、さすが安達祐実、他のポッと出の女優とは貫禄が違う。ゴールデンでない時間で見るとありがたみが1.5倍だね!ケンカしていた二人も、「そうよね、私の前は誰かの客だったんだし・・・。」って簡単に納得してしまう。“夜の蝶”なのに素直すぎ。そしてみんな拍手。これがまさに『帝王』マジック。
そしてオ―ナーの凌は、キャバ嬢の誕生日にプレゼントする花を買う為にフラワーショップに通い、そこの店員の陽子(黒川芽以)に告白されて付き合うようになる。ああ、普通。

“既婚の”塚本高史以外のイケメン要員、AAA(トリプル・エー)の與真司郎。映画『守護天使』では、引きこもりのパソコン少年だったが、『帝王』では、凌の親友で店の従業員大川栄太朗を演じている。それにしても、ドラマ全編で流れるAAAの「キャッキャッキャッ」っていう変な音楽(「Break Down」だって。)、何とかならないのか。あれを聴くと背筋がヒヤッとする。その大川(與真司郎)と店のキャバ嬢が内緒で交際していて、店長の凌との関係があやしくなる。だから展開が普通だって!

世の中の“怖さを”これでもかというくらい見せ付けてくれるもう一つの深夜ドラマ『怨み屋本舗 REBOOT』(テレビ東京系:木下あゆ美主演)の“間逆”をいくほのぼのドラマ『帝王』。登場人物にもクセがなければ、ストーリーも甘ちゃん。人の良さそうな塚本高史が、どこまでも誠実に仕事をこなし、出世していく。なんかエグイものを期待していた記者には少々モノ足りない。夜の世界で成功するって想像よりも簡単なんだろうか。

暑い真夏、都会に咲く一輪の花、水商売の掃き溜めにシレっと立つ鶴のような凌。この後、塚本くんがドラマ後半でどれだけ汚い世界に苦しめられ、ドップリその世界に漬かっていくのかが見もの。はたまたこのまま“ほのぼの甘ちゃん”でサクセスしてしまうのか?いや、そんな訳はないだろう。それとも、モデルになった人が実在しているから「ダークな部分はカット」とか、いろいろ大人の事情をはらんでるんだろうか。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)