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脚本家・野島伸司とプロデューサー・伊藤一尋が久々にタッグを組んだTBS金10ドラマ「ラブシャッフル」。
上記の二人が手がけてきた作品といえば「高校教師」「人間・失格」「未成年」などが頭に浮かぶ。
暗く、重いテーマを取り扱った『野島三部作』とは毛色の違う今回の「ラブシャッフル」。野島初期の作品「愛しあってるかい!」をほうふつとさせる、明るくおバカな要素をふんだんに取り入れた恋愛ドラマに仕上がっている。
「愛よりも相性のほうが大事なんじゃないか?」という名目のもと、心療内科医・菊田正人(谷原章介)が提案した「ラブシャッフル=恋人交換」は二巡目に突入した。
婚約者である芽衣(貫地谷しほり)の気持ちを取り戻すべく悪戦苦闘する啓(玉木宏)だが、思うようには進まない。
「ラブシャッフルメンバーのなかに、気になる人がいる」という芽衣の発言を受け、混乱する啓。
辞表を出した会社に復帰、昇進まで果たした啓だったが、芽衣の心変わりに落ち着かない日々が続いていた…。
わかりやすいセレブ感、高級マンション(プール・フィットネス付き)に住み、広いフロアでパジャマパーティを繰り広げる登場人物たち。
どう考えても時代に逆行しているとしか思えない設定に、最初から観る気にならないという視聴者も多いだろう。視聴率にもそれが表れていると思うが、しかしこのドラマ、一度も観ずに切り捨ててしまうのはいささかもったいない。
玉木宏演じる啓がこのドラマの主人公ではあるのだが、正直まったく感情移入できない。そこがいい。
8人のなかで、一番何も持ちえていないのが玉木演じる宇佐美啓という男だ。仕事も住んでいるところも、恋人である芽衣(の父親)に任せっきりだ。IT企業に勤めているくせに、パソコンもろくに使えない。そもそも覚える気がない。
それでも、啓という人間が輝く瞬間が物語の中にちゃんと用意されている。
芽衣が言う「本当の啓はすごいんです。二流のクズなんかじゃないの」。
見る者にそれを納得させる玉木の演技はさわやかだ。
しょうもないダジャレやギャグがあちこちに散りばめられているなか、威勢のいい啓のタンカは悪くない。
どんな人物を演じても、いちいちかっこいい俳優とは正反対のタイプであろう玉木宏。かっこいいことすら忘れさせるほど、情けない男の演技が光る。
8人の恋愛模様を俯瞰でみせる野島の脚本はさすがというべき。
誰にも感情移入しにくいぶん、物語そのものを楽しめる構造になっていると思う。
「ラブシャッフル=恋人交換」というストーリー、ひとつ間違えれば下品になりかねないわけだが、テンポのいいセリフ回し、場面転換、無意味に繰り返される笑えないギャグと対照的なセンテンス(エロスとタナトスなど)によって気がつけば引きこまれている。うさんくさいセレブ感など、気にならなくなってくる。
野島ドラマといえば、最後まで物語がどう転ぶかがわからないのも魅力のひとつ。
やはりこのドラマ、一度も観ずに切り捨ててしまうのはもったいないのではないだろうか。
(編集部 松本直樹)
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