家族の愛を知らず、児童養護施設や里親のもとを転々としてきたレイヴン・ウィテカー=スミスさん(Raven Whitaker-Smith、20)は2015年6月、通っていた中学の校長先生夫妻の里子となった。そしてこの出会いがきっかけで2017年、レイヴンさんは夫妻と正式に養子縁組を果たし、それまでとは全く違う人生を歩み始めたという。「生きる希望を見出した」と語る女性と夫妻の心温まるストーリーを、米ニュースメディア『WKRC』などが伝えた。
米ケンタッキー州に住むレイヴン・ウィテカー=スミスさん(20)と、同州「キャンベル郡中学校」の校長ジェイソン・スミスさん(Jason Smith)との出会いは2015年にさかのぼる。
当時11歳だったレイヴンさんは昼食時、学校のカフェテリアでカップ入りのヨーグルトを投げて校長室に呼ばれ、ジェイソンさんにこう聞かれたという。
「もし君がレストランにいたら、そんなことをするかい?」
するとレイヴンさんは「レストランに行ったことなんて一度もないもの。私には家族なんていないし、今はグループホーム(小規模児童養護施設)にいるのよ」と答え、ジェイソンさんをハッとさせた。レイヴンさんはそれまで、一度も“愛”を感じたことがなく、頭にシラミがわき、体中に青痣があり、爪は汚れて伸び放題だったという。
そんなレイヴンさんを見てジェイソンさんは当時、「なんとかこの子を助けてあげたい」と心を痛めたものの、妻メアリベスさん(Marybeth)にはこの日の出来事をすぐには話さなかった。というのも夫妻は子供に恵まれず、過去に3人きょうだいの里親になったものの、1年後に実の両親の元に戻ってしまったそうだ。そしてこの経験がトラウマになり、それから6年間は「また同じ思いをするのではないか」と里親になるのを躊躇していたという。
しかしながらジェイソンさんはその後、レイヴンさんのことがどうしても頭から離れず、メアリベスさんと話し合い里子として迎えることを決めた。そうしてレイヴンさんを初めて自宅に招待した日、メアリベスさんはただならぬ“運命”を感じたそうだ。
一方のレイヴンさんは当初、「学校長が里親だなんて…」と戸惑いがあったものの、