これまで日本でも手術の際に患者の体内にガーゼを置き忘れる医療ミスが報告されているが、このほどニュージーランドの病院で患者の体内に小皿サイズの手術器具が置き忘れられていたことが発覚した。この患者は手術後になんども腹痛を訴えていたという。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えている。
ニュージーランド、オークランド州グラフトンにあるオークランド市立病院で、帝王切開で出産した20代の女性患者の腹部に手術器具が置き忘れられていたことが保健当局の発表で明らかとなった。同国の医療障害委員会(Health and Disability Commissioner)の報告書によると、女性の腹部には直径約6インチ(約15センチ)の「開創器」が残されていたという。
女性の体内で発見された開創器は「Alexis ウーンド リトラクター」と呼ばれる、切開創部を感染から保護しながら、手術部位がよく見えるように広げた状態を保つために使用する器具で、形状は2つのリングの間に透明のフィルムが管状に貼ってある。米メディア『People.com』によると、女性の帝王切開に使われたのはXLと特大サイズのものだったようだ。
女性は2020年に同病院にて帝王切開での出産を終え退院したが、その後1年半ものあいだ激しい腹痛に襲われ、同病院の救急外来で診察を受けたこともあったそうだ。それでも女性の腹痛は治まらず、これまでに数回X線検査を受けたが、腹部からは何も見つからなかったという。
医療障害委員会の報告書によると、女性の腹部にあった開創器は「放射線不透過性ではない物質」だったためX線では検出できなかったとある。ところが帝王切開から1年半ほど経った2021年に、女性は再び同病院の救急外来を訪れてCTスキャンでの検査を受けたところ開創器が見つかったのだ。
すぐに女性には開創器を除去するための手術が行われ、女性はようやく腹部の痛みから解放されることとなった。報告書によると医療ミスが起きた原因は、