霊長類学に関するジャーナル『Primates』に先月27日、チェコ共和国の動物園で2年前に起きたドリル(オナガザル科のサル)による赤ちゃんの共食い(カニバリズム)の記録が公開された。母ドリルは死んだ我が子を2日間世話した後、死骸を食べ始めたそうで、研究者は「共食いには理由がある」と述べている。科学ニュースサイト『Live Science』などが伝えた。
チェコ共和国の動物園「ドヴール・クラーロヴェー・サファリパーク」で2020年8月24日、ドリルの“クマシ(Kumasi)”がオスの赤ちゃんを出産した。クマシは当初、積極的に抱っこするなどして甲斐甲斐しく世話をしていたが、赤ちゃんが被毛を掴んだりおっぱいに吸いつくことはなく、健康面で問題があるように見えたという。
そして8日後、赤ちゃんは突然死んでしまい、クマシは2日間、死骸を自分の近くに置いて世話を続けた。その間、死骸を運びだそうとする飼育員から逃れるように移動し、動かなくなった赤ちゃんからの反応を待つかのように毛づくろいや観察を続けたそうだ。
ドリルの群れを観察していた研究者は「クマシは赤ちゃんが死んだことを受け入れられずにいたか、赤ちゃんが死んだのかどうか確証が持てないようだった」と明かしており、