キャビンアテンダント(CA)に腕の傷の手当てをしてもらった時だった。
「ジャマイカに着陸したらリラックスできますからね」とCAに言われたビバリーさんは、思わず笑いながら「ジャマイカに行きたいのはやまやまだけど、私には住んでいるビーチがあるのよ」と答えた。
ところがCAは「当機はジャマイカ行きですよ」と述べ、その表情から冗談ではないことが明らかだった。乗務員がビバリーさんに伝えたところによると、ジャクソンビル行きはゲートが変更になったようで、ビバリーさんの乗った飛行機はジャマイカのモンテゴベイ空港に向かっていることが告げられた。
ここでもうひとつの問題が浮上した。ビバリーさんは国内線を利用するつもりだったため、パスポートを所持していなかったのだ。パスポートなしで他の国に入国すると、どうなってしまうのだろうか。乗務員からも「それはまずいですね」と言われてしまった。
最終的にジャマイカ当局が“厳密には米国領土と見なされる”として、ビバリーさんが搭乗ブリッジに留まることを許可してくれたので入国審査に向かう必要はなかった。ビバリーさんは数時間後の折り返しの便に乗るまで、乗務員と一緒に搭乗ブリッジで待つことになったという。
ビバリーさんが地元テレビ局『6abc Action News』の調査チームに依頼したことで、今回の不運な出来事が明るみに出た。調査チームは、米国運輸保安局、連邦航空局および税関・国境取締局に連絡を取り、これらすべての機関から乗客名簿と搭乗者を照合するのは航空会社の責任であるとの回答を得た。またフロンティア航空もビバリーさんに対して謝罪を発表し、補償としてフロンティア航空で使える本人名義の600ドル(約8万円)の金券(1年有効)を発行し、該当チケットも払い戻しされたことを明らかにした。また今回の空港職員についても対処したという。
なお今回のニュースには、人々から以下のようなコメントがあがっている。
「国際線のフライトは搭乗時にパスポートを見せなくてはいけないはずだけど、正しい手続きを踏まなかった係員がいたんだな。」
「フロンティア航空はゲートを変更し、あっという間に新しい飛行機を駐機させたのか。それともこの女性がよく見ずに間違ったゲートに駆け込み、さらに搭乗係員がちゃんと搭乗券を見なかったのか。」
「パスポートを持っていなかったのが悔やまれるね。ジャクソンビルよりもジャマイカの方がはるかに良い目的地だと思うけど。」
「でもなんか変じゃない? 普通、飛行機がゲートを離れる前に目的地についてのアナウンスがあるけど。この女性の記憶はちょっと不確かだよ。」
「別の航空会社で、遅延でゲートが何度も変更されたために一度似たような経験をしそうになったよ。その時は機内に入ると従業員が親切に声をかけてくれて、正しいゲートに案内してもらえたから良かったけどね。」
画像は『Eyewitness News 2023年5月6日付Twitter「Travel mishap lands NJ woman 900 miles from destination with no passport in new country」』『6abc Action News 2023年5月5日付「Travel mishap lands NJ woman 900 miles from destination with no passport in new country」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 秋本神奈)