美術館やアートギャラリーでは“作品に触れないで”という注意書きをよく目にする。先月16日、この注意書きがどれだけ大切かよく分かる事態が発生した。米フロリダ州の現代アートフェアで展示されていた作品に来場者の女性が触れてしまい、作品が展示台から落ちて粉々に割れてしまったのだ。幸いにも作品には保険がかけられており、女性が弁償することはないという。米ニュースメディア『People.com』などが伝えている。
作品が壊れてしまったのは先月16日夜、米フロリダ州マイアミで毎年開催されている現代アートフェア「Art Wynwood」でのことだった。この日はVIPの招待客に向けて作品の展示が行われており、アーティストのジェフ・クーンズさん(Jeff Koons、68)が1994年から2000年にかけて作成した「バルーン・ドッグ(Balloon Dog)」というシリーズの作品が被害にあった。
ジェフさんは2017年に米ラッパーのジェイ・Zさんとコラボレーションし、彼のライブステージの小道具の1つとして高さ40フィート(約12.1メートル)の作品を制作したことで注目を集めた。これにより世界中のギャラリーでジェフさんの作品が展示されるようになり、2019年にはウサギ型の作品がオークションにて9107万5000ドル(約100億円)で落札され、存命中のアーティストとしては史上最高の売却価格となり歴史に名を刻んだ。
バルーン・ドッグはジェフさんの代表作の1つであり、青、マゼンタ、黄色、オレンジ、赤のカラーバリエーションがある。同シリーズの作品は大きさも様々だが、今回壊されてしまったのは高さ16インチ(約40センチ)の比較的小さい作品で、4万2000ドル(約570万円)相当の価値があると報道されている。当時現場で作品が壊れた瞬間を目撃したという地元アーティストのスティーブン・ガムソンさん(Stephen Gamson)によると、