デンマークの美術館があるアーティストに紙幣を用いた作品制作を依頼し、作品に使用するためとして約925万円分の紙幣を先に渡していた。ところが展示予定の2日前にアーティストから送られてきたのは、作品の入っていない空の枠組みだけだった。タイトルには「お金を取って逃げる」と書かれており、アーティストはこの行動自体がアートであると主張している。美術館側はアーティストに対し、返金を要求していると『The Guardian』などが伝えた。
デンマーク北部オールボーにある近代美術館「Kunsten Museum of Modern Art Aalborg」は、「権力と不平等」をテーマにしてアーティスト活動を行うイェンス・ハーニングさん(Jens Haaning、56)に次回の展覧会に向けて作品の制作を依頼した。
依頼内容は、過去に紙幣を使って平均所得を表現した作品を新たに2つ制作するというものだった。イェンスさんは2007年、デンマークの通貨であるクローネ紙幣を額縁に入れて固定し「デンマークの平均的な年収(An Average Danish Annual Income)」という作品を発表していた。また2011年には、ユーロ紙幣を使用してオーストリアの収入をテーマにした作品を制作している。
今回もこれらと似た作品が期待されていたようで、同美術館は作品に使うためのお金として534000クローネ(約925万円)に加え、依頼料として25000クローネ(約43万円)をイェンスさんに渡していた。
同じテーマでも、時代が変われば作品の姿も違う形になってくるはずだ。イェンスさんから届いた完成品を美術館スタッフは期待を胸に開封した。ところが箱の中には作品を入れるためのフレームが2つ入っており、作品と思われるものは何も入っていなかった。そして空のフレームには、