自分が誘拐されたことを知ったのは16歳の時だったという。
「両親と自分には血縁関係がないことは知っていて、私は実の家族から勘当されて養子に出されたと聞かされていました。16歳の時にニュージーランドからオーストラリアに行くためにパスポートを申請した時、親の署名が必要だったので父親にお願いしたんです。その時、私は養子に出されたのではなく『自分たちが連れ去った』と告白されたのです。そんな父も私が21歳の時に亡くなりました。」
19歳でオーストラリアに渡ったのち、夫のハミルトンさん(Hamilton)と出会い3人の子供と4人の孫に恵まれ幸せに暮らしていたというスーザンさん。
そんな彼女はある日、養子縁組をしている女性と話をする機会があり「実の家族の気持ちを知りたいと思いませんか?」と聞かれたそうだ。そのことがきっかけとなり、イギリスの家族を捜すことを決意したという。
今年6月、ハミルトンさんがFacebookグループ「The Official Knottingley and Ferrybridge Community Forum」でスーザンさんの家族について情報を求めたところ、すぐにきょうだい全員の所在が明らかになった。
そして9月15日、スーザンさんは53年ぶりに実の家族との再会を果たした。
残念なことに実の母親は8年前に亡くなったそうだが、スーザンさんの姪であるエマ・マクフェイデンさん(Emma McFayden)によると、彼女は長年にわたり行方不明になった娘の身を案じていたという。
エマさんは家族の再会について「祖母は何年もの間スーザンを捜していて、以前暮らしていたキャンプ場に何度も足を運んだそうです。当時は書類もなければ警察の報告書もない状況でした。なので祖母の死後も多くの疑問が残ったままだったんです。それなのにこんなことが起こるなんて思ってもいませんでした。特に私の母はパーキンソン病と認知症を患っているので、悪化する前に実の妹と再会できて本当によかったです」と語った。
スーザンさんはこれまでの人生を振り返り、こう述べている。
「私は自分に起こったことの重大さに気づかず、ただ自分の人生を歩んできました。当時、なぜ警察が関与しなかったのかは今も分かりませんが、私を旅行に連れて行くことを母親が許可したことと、私たちがいろいろな人にお世話になっていたことが原因だろうと思っています。私は旅行者だったホストファミリーとともに世界中を旅しながら生活し、素敵な人生を送ることができました。旅先のコミュニティの中で育った私はとても愛されていて、幸せに育ってきたのです。」
「私はイギリスに自分のことを必死で捜す家族がいることを知りませんでした。でもようやく実の家族を安心させることができたし、自分が愛されて幸せな人生を送ってきたことを伝えることができたのです。私は行方不明の家族がいる人々に希望があるということ、奇跡は起きるということを伝えたいです。」
画像は『Hamilton Gervaise 2022年9月17日付Facebook「Happy birthday Susan we have had lots of birthdays together」、2022年9月15日付Facebook「Well today is a very exciting day for Susan」、2022年9月21日付Facebook「First time I have been next to my mother in law.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)