10日後の21日(土曜日)のことだった。アンデスから車で1時間半ほどの同州グリーン郡カイロに住むビデオグラファーのブライアン・ジェイムズさん(Brian James、28)が、掲示板サイト「Reddit」に投稿されていたメドウのポスターに気付き行動を起こしたのだ。
ブライアンさんはハイキングガイドとしても活躍しており、メドウの捜索についてこう語った。
「その朝、ネットで見たメドウのことがどうにも気になってね。10日経って見つからないのなら、ドローンを使って空から捜索してみようと思い立ったんだ。ドローンを扱うのは慣れているからね。ただアンデスには行ったこともないし、メドウの被毛は白だから、雪が降る前に見つけ出さないと…という焦りもあった。」
「それで急いでアンデスに車を走らせ、最後に見かけたという森でドローンを飛ばしてみた。でも『見つけた!』と思っても、実は白い丸太だったりと、時間ばかり過ぎていってね。『これで最後にしよう』とあきらめかけた時、森の中に白い小さな点を見つけたんだ。それでドローンをできるだけ下降させてズームすると、その白い何かが顔をあげて…すぐにメドウだってわかったよ。」
「その後GPSで確認した場所に着くと、そこからは森の中を歩いて進んだ。メドウを見つけた時はそりゃ興奮したよ。ただメドウは私のことを警戒して近づかせてくれなくてね。15分ほど追いかけてトリーツで引き寄せ、やっと抱きしめることができたんだ。」
こうしてメドウを捜し出したブライアンさんは「どこかに行かれてしまったら大変だ」と、リーシュがなくなっていたメドウを抱えて車まで戻ったという。しかしながらメドウの体重は35キロを超えており、50歩前進しては休憩し、ハンターに狙われないように「撃たないでくれよ~」と叫び続けたそうだ。
ブライアンさんはメドウ捜索の一部始終を動画に収めており、森の中を興奮しながら歩く姿やメドウ救出後に車の中で「本当に諦めないで良かった」と涙を溜めながら語る姿が映し出されている。そしてこの動画の一部はメディアでも取り上げられて拡散し、「ブライアンさん、すごいよ!」「ハッピーエンドで良かった」「涙が出た」「ヒーローだね」「希望を捨てなかったところが素晴らしい」といったブライアンさんを称える声があがっている。
一方でブライアンさんからメドウを引き渡されたゲイリーさんは「彼には心から感謝しているよ」と語ると、こう続けた。
「実はブライアンさんはポスターに記載していた500ドル(約52000円)の報酬を受け取らず、『自分ができることをしただけだから、そのお金はチャリティ団体へと寄付して欲しい』と丁寧に断ってきたんだ。今では彼は私たちの家族と一緒。それでコロナが落ち着いたら再会する約束もしているんだ。」
そしてメドウについては、こんなエピソードを明かした。
「救助されて最初に私たちを見たメドウは『大したことはなかったね』とでも言いたげな、素っ気ない態度だったんだ。でもいざ出発しようとすると、自分から私たちの車に乗り込んできた。抱えないと絶対に車に乗ることなんてなかったのにね。まるで『レッツゴー』って催促されているみたいだったよ。」
なおモーガンさん夫妻はメドウをずっと手元に置くことに決めたそうで、「我が家がメドウの永遠の家なんだ」と嬉しそうに笑った。
画像は『Brian James 2020年11月23日付Instagram「Two days ago, I saw a Reddit post about a missing golden retriever.」』『ABC News 2020年11月25日付「Man uses drone to rescue dog lost for 10 days in the woods」(ABC)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)