ミシガン州ジャクソン郡のジャクソン市から興味深い話題が飛び出した。そのやり方は確かに違法ではないものの、社会の良識として許されるものだろうかと物議を醸している。270ドルの罰金刑を言い渡された男性がすべてを1セント硬貨だけで支払おうとして市役所の職員に拒否され、激怒しているもようだ。
「10ドル札だろうが1セント硬貨だろうが、どちらもお金には変わらないと法律でも定めているぞ。このやり方の何が悪いんだ!」
地元メディアの『MLive.com』にそんな怒りをぶつけたのは、ブライアン・マッゴーネガルさんという高齢の男性。近所から拾い集めたガラクタを含むゴミを自分の庭に山のように築いて市に苦情が殺到し、2016年の夏に罰金と撤去費用を合わせた270ドルを支払うよう命じられた。それを利息も含めて11回の分割払いでと陳情したマッゴーネガルさんは、まずは最初の27ドルを支払うにあたり27ドル分の紙幣を信用協同組合で1セント2,700枚に交換してもらった。そして終業時刻までわずかという4時55分に市役所へ。その窓口で2つの布袋にずっしりと詰められた2,700枚の茶色の硬貨を広げたのだ。
しかし市役所の職員はそんなマッゴーネガルさんに「ノー」と拒絶。市役所に勤務して35年間という財務部長のランディ・ローゼック氏は、同メディアの取材に「罰金をすべてペニー(1セント)で支払おうとする市民など見たこともありません。市の顧問弁護士であるベサニー・ヴジュノフさんの意見を仰いでから『こんなことは馬鹿げていますよ』と丁重にお断りしました。弁護士は『とんでもない手間のかかる作業ゆえ、その分の経費を徴収してやればいい』とも言っていましたよ。考え直すよう説得に努めましたが、マッゴーネガルさんは『いいから早く硬貨を数えろ』といって聞きませんでした」と呆れながら話している。
この件については、米造幣局のマイク・ホワイト氏ですら「善良な市民を動揺させるだけのとんだ愚行。ジャクソン市はそんな支払い方を承諾してやる必要はないです」ときっぱり。しかしマッゴーネガルさんは、1965年に定められた「Coinage Act(貨幣法)」に債務返済、税金、公的費用、会費などの支払いにおいてすべての紙幣と硬貨が使用可能と定められていることを知っていた。彼は同メディアに「ゴミを撤去しにうちの庭に来た作業員はたった15分で帰っていったのに、その費用として200ドルを払えというんだ。だからこっちも意図的にあいつらを困らせてやろうと思ったのさ」とニンマリしながらこう語った。
「役所の人間はいつだって自己中心的で完璧主義。“市民たるものこうあるべき”と自分たちの理想を押し付けてくる。細かいところのアラさがしは得意だろうし、あいつら、これからも俺のことをじーっと監視してくるんだろうな。そもそも市民のための市政なのに、あいつらの人を見下したような態度が原因で皆ついペコペコしてしまう。弁護士などいなくても俺は徹底的に戦うつもりだよ。呼ばれれば法廷にも行くさ。」