カナダ・ブリティッシュコロンビア州リッチモンドのスティーブストンという埠頭で今月20日、女の子がアシカに水中に引っ張り込まれた。桟橋では数人の観光客がアシカにパン屑などの餌を投げ込んでおり、その時の様子を撮影した動画が拡散している。
大きなアシカが餌につられて桟橋へと泳ぐ様子を撮影したのは、サイモンフレーザー大学に通うマイケル・フジワラさん。アシカは水の中から頭を出したり潜ったりを繰り返し、ゆっくりと女の子に近づいていく。その後、水中からジャンプし興奮して覗き込む女の子の顔に急接近した。この時点ではまだ笑い声が聞こえ、まったりとした様子がうかがえる。
しかし女の子が桟橋に腰かけた瞬間、アシカは水の中から勢いよく飛び出すと女の子のワンピースをくわえ、そのまま水中に引っ張り込んだのである。周囲から「オーマイガー!」という声や悲鳴が響き渡った。
背中から水中にドボンと落ちる形になった女の子だが、一緒に来ていた祖父がすぐさま飛び込んで救助し無事であった。
マイケルさんは『cbc.ca』に「週1回は埠頭に来ますが、こんなことは初めてです。女の子の家族は非常にショックを受けていたようです」と語っている。
この埠頭を管理している「スティーブストン・ハーバー・オーソリティ(Steveston Harbour Authority)」代表のロバート・キースマンさんは「埠頭には『餌をあげないで』というサインがあちこちに提示されています。森の中にいる巨大なクマにハムサンドイッチをあげたりはしないでしょう。数百キロにもなる野生のアシカにパン屑をあげるなんてもってのほかです」と述べた。ロバートさんは「アシカは女の子が着ていた白いワンピースを餌と間違えた可能性が高い」としており、今後は監視を強化していくことを検討しているという。
埠頭には「海洋哺乳動物をそっとしておいてあげてください。違反者には最大で10万ドルの罰金が科せられます。アシカに噛まれると、感染症により手足の切断、最悪の場合は死に至ることもあり非常に危険です」といった新しい警告も設置された。バンクーバー水族館で海洋哺乳動物のトレーナーをしているダニエル・ハイソンさんは「女の子が噛まれた際に、皮膚に傷がついていたとしたら危険です。すぐに水族館に連絡をして下さい」と呼び掛けている。