アメリカ人、イギリス人は背が高いというイメージはもう過去の話。今では国別・平均身長トップ10のランク外である。群を抜いて世界一の高身長と判明したのは長寿としても知られているオランダ人。そうなると気になるのが彼らの食生活ではないだろうか。
遺伝子、食生活、運動、生活習慣など複合的な理由で決まるといわれる人の身長。2014年に大規模な国別の平均身長の調査が行われ、100年前にあたる1914年の調査結果と比較したデータがやっとまとめられたことを英メディア『mirror.co.uk』が伝えた。「わが子の背をもうちょっと伸ばしてあげたい」と考える人々の注目を集めているもようだ。
■2014年 国民の平均身長・世界トップ10(カッコ内は1914年の順位)
<男性>
1 オランダ(12)
2 ベルギー (33)
3 エストニア (4)
4 ラトビア (13)
5 デンマーク (9)
6 ボスニア・ヘルツェゴビナ (19)
7 クロアチア (22)
8 セルビア (30)
9 アイスランド (6)
10 チェコ (24)
<女性>
1 ラトビア (28)
2 オランダ (38)
3 エストニア (16)
4 チェコ (69)
5 セルビア (93)
6 スロバキア (26)
7 デンマーク (11)
8 リトアニア (41)
9 ベラルーシ (42)
10 ウクライナ (43)
気になる平均身長の数値だが、オランダ人男性は182.5cm、ラトビア人女性は170cmとのこと。「大柄なイギリス人」の印象を代表する英王室のウィリアム王子は身長191cm、弟のヘンリー王子も189cmだが、このたびのランクでイギリス人男性は31位、女性は38位。またアメリカの男性は42位、女性は37位でしかないという。
また100年前と比べると、イラン人男性は20.2cm、韓国人女性は16.5cmも平均身長を伸ばしたそうだ。一方でシエラレオネ、ウガンダやルワンダなどのアフリカの国々は、過去40年の間に5cmも平均身長が下がってしまったとのこと。なおすべての男性と女性の平均身長の差は100年前の11cmとそう変わらず、2014年も女性の方が12cm低いという結果になったそうだ。
この研究をオンラインジャーナル誌の『eLife』に発表したのは英「インペリアル・カレッジ・ロンドン」のマジッド・エザッティ教授の研究チーム。「小児~青年期の環境と食生活の重要性を改めて見直すきっかけにしていただきたい。ここ100年の間に平均身長が高くなった国がある一方で低くなった国もあり、世界規模で食糧問題に対処していかなければなりません」などとまとめている。
こうなると気になるのはオランダの人々の食生活だが、彼らのそれはたんぱく質と同時に良質なカルシウムをよく摂取していることが特徴だ。まずは「ニシン」。塩漬けの生ニシンの消費量は大変なもので、続いて酪農王国らしく「チーズ」。さらに植物性たんぱく質も豊富な豆をふんだんに使用し、ソーセージと野菜を混ぜた伝統料理の“エルテン・スープ”や、ジャガイモ、野菜、ポテト、肉などを使用した“スタンポット”といった煮込み料理を好むほか、食卓にはドライフルーツ、果実、木の実などを欠かさない。
また体の持つ免疫抵抗力を高めることが大切と考えるオランダ人は、極力薬の服用を避け、良質の水をたっぷりと飲み、風邪をひいてもハーブティを飲んで寝ることに専念するという。こんな健康的な食生活のおかげで彼らの平均寿命は毎年のように80歳を超えている。オランダもそうだが、このたびトップに並んだ国々は家庭料理、伝統料理というものを大切にしていることが特徴といえそうだ。
出典:http://www.bbc.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)