8.6秒バズーカー、クマムシ…。今や旬の芸人である彼らを一躍有名にしたのが、『ぐるナイ』『アメトーーク!』などのバラエティ番組だ。これをはじめとして、近年無名の若手芸人をクローズアップする番組は多く、テレビ以外にもYouTubeなどの無料動画配信サイトなど、若手がアピールできる場所は昔と比べて非常に増えている。それは多くの若手にチャンスを与えている一方で、“諦めがつかない”芸人を増やしているという現実もあるという。人気芸人の博多大吉がラジオ番組でその現状を語った。
8日に放送されたTBSラジオ『たまむすび』のオープニングトークで、とある番組で若手芸人10組と共演したと語った大吉。番組収録後、その若手たちと飲みに行ったそうだ。若手と言っても、芸歴は1年~10年まで幅広いメンバー。彼らと会話してアドバイスを求められる中で、大吉が彼らと同年代だった頃との大きな違いを感じたという。
それは、“売り出す機会が格段に増えた”ということ。劇場が増え、お笑いをやる事務所も増え、インターネットサイトができ、YouTubeなどの無料動画配信サイトができ…。大吉曰く「若手は出ようと思えば出られる場所がある」という。
「(以前は)劇場もちょっとしかなくて、限られたメンバーしか仕事がなかった」と語った大吉。だからこそ、諦めがついたという。例えば“5年やって仕事がない”、“同期だけが売れて自分は仕事がない”となると、「もうだめだ」と引退する人が多かったそうで、大吉は「僕らの時は同期が2年目くらいから一気に減る」「4、5年も経つと、200~300人が20~30人くらいに減るんですよ」と当時を振り返った。一方、現在は受け皿がいっぱいあるために辞めるに辞められないのだという。
そんな現状を「パチンコと一緒。ここでもう千円、もう千円…というね」と例えた大吉。「今後の若い子は頑張って考えること(が必要)だと思いますけど」と語った。
次々とメディアに登場する若手芸人の裏で、なかなか芽が出ず苦しい思いをしている芸人もいる。発信する場所が増えたことで、より多くの芸人が日の目を見る可能性もあるが、それゆえに“諦められない”という別の苦しみも生んでいるようだ。
(TechinsightJapan編集部 根岸奈央)