スペイン・バルセロナ近郊の町に、このほど世界初の犬用公衆トイレがデビューした。「犬のオシッコ、フンおことわり」。こんな注意書きが目に入るのは、世界のどこの都市においても同じ。“いっそのことウチも真似してみない?”と、この話題は世界各地に広まりを見せている。
犬を散歩させる中でフンの始末をきちんとしない飼い主が増えていることが大きな問題になっているスペインで、このほど犬用の公衆水洗トイレがバルセロナの西の町、エル・ベンドレルに誕生した(画像はtheguardian.comのスクリーンショット)。
ごらんの通りの水洗トイレで、犬の排尿、排泄後には飼い主が水を流すシステムになっており、奥の四角い穴が「排便」用で手前の網の目状のフタがかぶせてある部分が「排尿」用。父親が飼っているアイリッシュ・セッター犬の行動を長年観察してきたというタラサ在住のエンジニア、エンリック・ジローナさんが、町の美観や衛生面の向上を狙うパイロットプロジェクトのひとつとして町に寄贈したそうだ。
「凝ったものを1つ設置するのではコストが掛かりますが、10だ25だと注文がどんどん入ってくるようであれば値段はグンと下がるでしょう」と普及に意欲を燃やすジローナさん。「清潔感も大切ですが、完全に無臭にすると犬が困惑してしまうため、ある程度のにおいを残すように設計してあります」とこだわりを話す。人口36,000人という小さな町ならこのやり方でも功を奏するとの声があがっている一方で、側溝をつくる技術でどこにでも簡単に設置できるため、衛生上これを真似ない手はないとの声も。飼い主のモラル向上を呼びかけるだけでは改善が見られないという都市で、こうした設備を求める気運が高まりそうだ。
エル・ベンドレルでは犬のフンを放置した飼い主には最大10万円の罰金を徴収すると定めているが、なかなか現場を押さえるには至らず、悪質な飼い主が増えていることからバルセロナやマドリードでは罰金を20万円に釣りあげ、コルメナール・ヴィエホでは私服警官を巡回させているという。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)