都市部、あるいは地方部問わず、野良犬の存在が問題となっているロシア。冬季オリンピックに沸くソチでもそれは例外ではなく、オリンピック開始までに多くの野良犬が捕獲、殺処分された。だがそうした中、野良犬達の救助を申し出た資産家がいたことが話題となっている。
ロシアの新興財閥『ロシア・アルミニウム』社社長オレグ・デリパスカ氏は、ソチ五輪に対する多額の投資を行う一方で、オリンピック開始前に野良犬保護のためのチームを結成。彼らによって保護された約150頭の野良犬は、ソチ郊外に設置されたシェルターに保護されることとなった。
こうした動物愛護への動機についてデリパスカ氏は『BBC』のインタビューに対し、「私にとっての最初の“飼い犬”は、私が生まれ育った村で暮らしていた野良犬でした。5年もの間、私達は強い友情で結ばれていたのです」と話している。
だが、このように救助された野良犬達は稀な幸運の持ち主と言えるだろう。ロシアの野良犬達は多くの場合、捕獲後に待ち受けているのは殺処分という運命であり、新たな飼い主探しやシェルターでの保護という選択肢が与えられる可能性は極めて少ない。ソチでも救助されたのはほんの一部であり、多くがオリンピック開始前に捕獲、殺処分されたと『ABC News』は報じている。
時に人を襲うこともある野良犬の存在は、ソチに限らずロシアのあちこちで問題となっており、同時にそれに関与する事件も増加している。ウラジオストクでは、昨年5月から今年1月にかけ毒入りの肉団子を何千頭もの野良犬達に与え殺害していた男が逮捕され、懲役6か月の実刑判決が言い渡された。
※ 画像はイメージです。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)