顔中に真っ黒の毛が生えているこの男性。幼い頃から“狼”と呼ばれ、大変なからかいやイジメと闘って生きてきたが、今では普通の人となんら変わらない日常生活を送るように努めているという。このほど彼の新たなドキュメンタリー番組が制作された。
“チュイ”というニックネームで呼ばれているヘスス・アセベスさんは、メキシコ・サカテカスのロレトに暮らす30代男性だが、顔にはこの通り黒い毛がびっしり。それは「先天性多毛症」と呼ばれる遺伝性疾患で、彼の家族にも多発している。このほどチュイさんの短編ドキュメンタリー番組『Chuy, The Wolf Man』が制作となり、彼はそのプロモーションを兼ねて英メディア『mirror.co.uk』の取材に応じた。
『Chuy, The Wolf Man』はチュイさんの日常生活を追ったもの(画像はmirror.co.ukのスクリーンショット)だが、いかに彼がデリケートで、しかし勇敢なハートの持ち主であるかが痛いほど伝わってくる。一歩家の外に出れば奇異の目がまるで突き刺さるかのよう。チュイさんは常に平静を装っているが、その外見をからかうヤジ、罵声に時には圧倒されてしまいそうだという。あまりにも珍しい自分の外見について彼はこう語る。
「先天性多毛症の症例は、医学の歴史においても50ほどしか報告されていないのですが、そのうちの30例ほどが私の家系で発生しています。最近も生後6か月の甥のデリアンが同じ疾患であることが分かりました。」
チュイさんについてはこれまでもドキュメンタリー映画が制作され、時おり世界のメディアの取材や番組への出演オファーをも受けるようになっている。チュイさんはそこで自分や家族が持っている「先天性多毛症」を広く理解してほしいと呼びかけ、ギャラを治療費や生活費に充てているが、彼が堂々とその姿をさらすようになったのは10年ほど前から。本当に長い間、人目を避けて暮らしていたとし、「平和に暮らしたいだけなのです。でも孤独なのはもっと辛いことです」と話している。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)