エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪・番外編】やなせたかしさんの訃報に止まらぬツイート。「嘘…まじか」「お世話になりました」

やなせたかしさんが10月13日に心不全のため亡くなった。94歳だった。この夏、7月に行われた劇場版アニメ『それいけ!アンパンマン  とばせ!希望のハンカチ』の舞台挨拶では、元気そうに自作曲を披露しており「ステージで死んだら宣伝になる」と歌いながら「病院から2~3週間の命と言われている」と笑っていた。10月15日に訃報が流れると、多くの人々がお別れや感謝の気持ちをツイートしている。俄かに信じがたいだけに「マジか…」というつぶやきが多く、ショックを隠せない状況だ。

絵本・アニメとして知られる『それいけ!アンパンマン』や童謡『手のひらを太陽に』の歌詞を手がけた、やなせたかしさんの訃報が10月15日の午後から日本中に流れた。ツイッターでは「嘘…まじか。赤ちゃんのときから大好きだったな」、「小さい頃はいつもアンパンマンを見てました。とても残念」、「亡くなったのか…はじめてしゃべった言葉はアンパンマンです!」、「わたしも弟もそして息子たちもお世話になりました。心からお悔やみ申し上げます」と幼い頃にアンパンマンを見て育った人々のつぶやきが止まらない。

「やなせたかしさんのように、歳をとっても若い者には負けないぞっていう風に頑張りたい」、「これからアンパンマンを越える幼児向けアニメが出ることはないと思う」と彼の生き様や功績を称える者も多く、やなせさんの出身地からは「高知のため、子供たちのために命の限りを尽くされました…今後はゆっくりと過ごして頂ければと願います。これで高知が頼れるものは龍馬だけになりました」といったお悔やみもつぶやかれている。

つい数日前のこと、記者の脳裏に何故か『アンパンマンのマーチ』の歌詞の一節が浮かんだ。“愛と勇気だけが友達さ”という部分だ。やなせたかしさんは日中戦争に従軍して死と直面するような空腹体験をしている。弟さんが戦死したことから反戦感情が強かった。

アニメ『それいけ!アンパンマン』は子どもを中心に愛されるものとなったが、彼は常に平和や環境問題など作品を通して何かを伝えようとしてきた。記者は社会に何かを訴え続けるその姿と“愛と勇気だけが友達さ”という歌詞が重なった時に、「やなせさんはずっと孤独なのではないか」と感じたのである。そんな矢先に彼は94歳の生涯を閉じてしまった。

改めて調べてみると『アンパンマンのマーチ』には、やなせさんの戦争体験や弟さんが戦死した辛い思いがその根底に流れているという見方もあるようだ。アンパンマンが自らの顔をちぎって与えるのは、戦争で空腹に苦しむ人々へ食料を届けることを意味しているといえなくも無い。

ネットでも『アンパンマンのマーチ』の歌詞について、様々な感想を見ることができる。お笑い芸人・阿曽山大噴火がツイッターで、昨年の5月に次のようにつぶやいていた。

「1年ほど前、避難所で泣く子供たちのために『アンパンマンのマーチ』を流すと皆泣きやんだらしい。しかし歌詞を聞いて、大人たちが涙したという。いつの時代も人の心を打つのはシンプルでストレートなものかもしれない。」

やなせたかしさんへのお別れのツイートに、「小児外来行ったら必ず子どもに『アンパンマン描いて』ってせがまれました。泣く子も黙るイラストはやはりアンパンマンでした」という看護師さんからのものや、「小さい頃はいつもアンパンマンを見てました。とても残念です。また生まれ変わっても素敵な作品で世界中の子供たち、大人たちを勇気づけて下さい」という言葉があった。彼の作品はこれからもみんなを勇気づけてくれることだろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)