writer : techinsight

【名盤クロニクル】秋に聴く侘びさびのあるシャンソン コラ・ヴォケール「Vaucaire 97」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:シャンソン)

シャンソンと言えば、エディット・ピアフが思い浮かばれるし、実際に日本のシャンソン界でもこの上なく尊敬されている人である。

ただ、基本的に戦前の歌手であり、彼女のレパートリーがそれほど多く日本人歌手に歌われているわけではない。

では、日本人にこの上なく愛されているシャンソン歌手は誰であろうか。
名前はそれほどメジャーではなくても、日本人のシャンソン歌手が好んでレパートリーとして取り上げる歌手がいる。それが今回紹介する「コラ・ヴォケール」である。

コラ・ヴォケールがなぜ日本人に愛されているかといえば、彼女の歌声の持つ独特の侘びさび感にあると言えよう。

彼女は若い頃から、老人のようなしわがれた声で、フランスの気品に満ちた歌を何十年も歌い続けていくタイプの歌手である。

また、シャンソンの永遠のスタンダード曲である「枯葉」を、世に知らしめたことでも有名だ。

フランス屈指の詩人、ジャック・ブレヴェールの詩を好んで取り上げており、新しい古いに関わらず良い曲を積極的に採用していくタイプのシャンソニエールである。

日本人シャンソン歌手の大御所、金子由香利もコラ・ヴォケールのレパートリーを好んで取り上げている。

さて、今回紹介する、ライブアルバム「Vaucaire 97」は、彼女の代表曲を網羅したライブ盤である。

ここで、このアルバムに収録されている彼女のレパートリーの中で、日本人シャンソン歌手が好んで取り上げる曲を列挙してみよう。

・Comme Au Theatre(まるで芝居のように)
・Heureusement On Ne S’Aimeit Pas(愛し合っていなくてよかった)
・Marida(マリーダ)
・Trois Petites Notes de Musique(3つの小さな音符)
・Frede(フレデ)
・Le Pont Mirabeau(ミラボー橋)

伴奏はピアノとアコーディオンとチェロのみ。
ときに淡々と、ときに劇的に歌われるフランスのノーブルな歌をじっくり堪能して欲しい。

秋の空気にこれほどぴったりハマるシャンソンは、滅多にないだろう。音盤は入手困難であるが、iTunes Storeでなら容易に音源がダウンロードできる。

(収録曲)
1. Comme Au Theatre
2. Maintenant Que La Jeunesse
3. Saint-Germain Des Pres
4. Le Temps Du Tango
5. Nous Dormirons Ensemble
6. Une Noix
7. Drouot
8. Chant De Barbara
9. Heureusement On Ne S’Aimait Pas
10. Et Voila Les Hommes
11. Quand Tu Dors
12. Avec Le Temps
13. Je N’Peux Pas
14. L’Echarpe
15. Je Suis Comedien
16. Le Pont Mirabeau
17. Complainte Du Roy Renaud
18. Marida
19. Les Goelands
20. Frede
21. Trois Petites Notes De Musique
22. Les Feuilles Mortes
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)