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今回の【ドラマの女王】は日本テレビ系の『アイシテル〜海容〜』(あいしてる〜かいよう〜)。主演は稲森いずみ。若いと思っていた彼女も気がつけばもう37歳。すっかり大人の役が板についてきた。昨年NHK大河ドラマ『篤姫』での滝山役も記憶にあたらしいが、今回は小学5年生の子どもを持つ母親役に挑戦だ。独身で子どもがいない稲森だからできる思い切った演技に期待をもって見るが・・・。
野口さつき(稲森いずみ)は小学5年生の智也(嘉数一星)と夫・和彦(山本太郎)のごく普通の家庭の主婦。私立の中学に進学させたい息子の塾代にとウェイトレスのバイトをし、家事にも手を抜かない。
小学2年生の男児・小沢清貴(佐藤詩音)は、家族からキヨタンと呼ばれ、家族のマスコット的な存在。どこにでもいる主婦の母親・聖子(板谷由夏)と父・秀昭(佐野史郎)から惜しみない愛情を注がれている。そんな弟“キヨタン”の両親によるあまりの可愛がりようを、長女の美帆子(川島海荷)は呆れて見ている。
そんなある日、聖子が友人とのランチでわずか15分間家を空けたすきに清貴が帰宅し、ランドセルを置いたままどこかへ行ってしまった。必死で清貴を探す聖子。だが家族の願いと警察の捜索もむなしく、清貴は遺体となって発見される。それから家族を襲う容赦のない報道や、警察のふがいない態度、近所の好奇の目。ショックを受ける間もなく聖子と家族の心情を逆撫でする。
日常に不満を持った小学5年生が、小学2年生を殺す。とても嫌な話だ。
最初は「ああ、見たくないな。」と思っていた記者だが、自然とドラマに引き込まれた。もの静かでどこにでもあるような家族の風景に突然襲い掛かる不幸。被害者も加害者も親にとってつらいのは一緒だ。
凶悪犯罪を犯してしまった子どもの親である事が、どれだけ社会的制裁の強いものなのかをこのドラマは第一回にしてしっかり教えてくれた。
「だからあの時生まなければ良かったんだ。」とか、「一番(息子と)一緒に居たのは君だろう?こうなったのは君のせいだ。」とまるで他人事のようなセリフを吐く夫(山本太郎)に「なにそれ?それでも父親?」と、怒りをあらわにするさつき。もっともであるが、現代風の父親は仕事の事で頭がいっぱいで、子育てに関心が低いこのような「心無い物言い」をすることがあながち考えられない訳ではない。
母親であるさつきも息子の進学やそれにかかるお金の事で頭がいっぱいな部分があった。
息子の殺人という最悪な結果で噴火した夫婦関係だが、そうでなくてもいつかは衝突する状態だったのかもしれない。
父も母もお互いに息子の誕生に喜びを感じたことは覚えているのだが、10歳を越え成長した息子の気持ちがいつしか分からなくなって来ていた。いちばん怖いことは息子が殺人を犯した事が発覚するまで、それに気がつかなかった(息子の変化をだいたい分かっていても)、どう対処していいか分からなかった。というところにある。
つい最近、薬物所持で逮捕された息子をかばう有名俳優が話題になった。俳優の涙ながらの記者会見を見ると、ここの両親は本当に息子のあやまちを知らなかったと思える。世間から見れば30を過ぎた息子の失態を防げなかった「ふがいない親」に見えるかもしれないが、この家庭においての息子は薬物に走った「心の闇」を一切親に見せなかったのかもしれない。
愛情をもって厳しく育てたのに、子どもが“間違い”を犯す。
もしそうなった場合、親はどう子どもを受け止めてあげればいいのだろう。
智也の事件を担当する家庭裁判所の調査員・富田(田中美佐子)の存在が、その答えのヒントをくれそうだ。
「このドラマを全ての母に捧げる」。というキャッチコピーは少々間違っていると記者は考える。
このドラマのテーマは決して“母”だけの問題では無いからだ。
(編集部:クリスタルたまき)
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