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【北京オリンピック】男子100m平泳ぎ予選まであと5時間!北島を”ここまで強く”した、あの「魔物」とは?

2008年8月9日 16:45

北京五輪、本番前からその好調ぶりが連日伝えられている競泳の北島康介(25)=日本コカ・コーラ=。これまでも、下馬評として「メダル間違いなし」と言われた選手は星の数ほどいた。オリンピック会場には「魔物が棲む」といわれている。オリンピックに限らず、大きな大会にはその類の「目に見えない何か」が潜んでいるのは間違いない。
日本時間の今夜(8月9日)100m平泳ぎの予選を控え、いま現在絶好調といわれる北島だが、果たして北島にもこの「魔物」は牙をむくのだろうか。




結論からいうと北京五輪での北島康介 男子100平泳ぎ金メダル獲得の確率は限りなく100%に近い。これは彼のメンタル(精神)の強さが言わせた数字である。

先日の記者会見で北島の落ち着いたコメントに、武者震いから鳥肌が立った競技関係者も多いのではなかろうか。それは、10年以上北島を指導してきた平井コーチの言動にも現れている。
おそらく今回の北島の爆発はTNT火薬の比ではないであろう。「調子のいいときは危険である」。この言葉は、今の北島には無縁だ。

過去に、多くの金メダリストを見てきているが、金メダル獲得のパターンには、まったく違った要素をもったものが混在している。水泳に絞ってみよう。もちろんオリンピックでの優勝ではあるので、すべての選手が金メダルにふさわしい能力を持ち、発揮したことには違いはない。ではその混在の意味とはー?
ソウル五輪男子100m背泳の鈴木大地、バルセロナ五輪女子200m平泳ぎ岩崎恭子。この2選手は当時金メダルを確実視されていたわけではない。言葉は悪いが、ビギナーズラックに近い。オリンピックで勝つことの「怖さ」「難しさ」をまったく知らないうちに「取ってしまった」金メダルであると言えるだろう。事実、彼らがオリンピック以降、苦しみぬいた挙句、再び桧舞台にたつことはなかった。

対して北島はどうであろう。
これまで多くの世界大会の頂点に君臨し続けている。それもアメリカにブレンダン・ハンセンという巨人がいるにもかかわらず、だ。これまでの勝負は互角またはそれ以上である。

アテネオリンピック以降、北島も国内大会で大敗を喫しどん底を味わっている。そこには、怪我・燃え尽きなど、恐らく彼の脳裏には「引退」の2文字も浮かんだに違いない。鈴木や岩崎がその道を選んだように。

しかし、この悪夢から北島は立ち上がったのである。栄光と挫折、そしてどん底から這い上がる。一見ありがちなストーリーに見えるが、そこには我々の想像を絶する「闘い」があったはずだ。今オリンピックで北島が見せる静かな自信は、アテネ以降のこうした「自分との闘い」に裏打ちされたものであろう。

今の北島には、あの「魔物」すら味方につける無類の強さがある。

北島康介が世界新記録でゴールする瞬間、体中の血液が泡立つ快感を早く味わいたいものである。
その瞬間が刻一刻と迫っている。

まずは、本日(現地時間20時45分、日本時間21時45分開始予定)の男子100m平泳ぎ予選に注目してみよう。レース直後のレポートをお届けしたいと思う。

文責:Hiroshi Itoh <元千葉県水泳連盟 競技役員、日本体育大学体育学部卒 スポーツ心理学専攻>
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