診察時のことを次のように振り返った。
「実は当時、胃を小さくするための『スリーブ状胃切除術』の許可がようやく下りてね。その準備のためにボードーで診察を受けた。するとある医師が私の症状に疑問を抱いた。脂肪ならば柔らかいはずの腹部が硬く、体重が減って顔や腕は痩せているのに、お腹だけが大きくなっていたからね。『あなたは栄養失調ですね』とも言われたんだ。」
すぐにCT検査を受けた結果、腹部に巨大な腫瘍が見つかり、検査の2週間後に悪性軟部腫瘍の一つである脂肪肉腫と診断された。腹部が大きくなり始めてから、すでに12年が経過していた。
手術は2023年9月26日に10時間をかけて行われ、腹部から重さ27.3キロ、直径52.3センチの腫瘍が摘出された。
さらに、大きくなった腫瘍の影響で右側の腎臓と小腸の一部も切除せざるをえず、トーマスさんは「腫瘍を摘出しても、体内に取り切れなかった腫瘍組織が成長を続けているんだ。年に2回の腫瘍医の診察が欠かせず、2週間ごとに精神科医のセラピーを受けている」と肩を落とした。
ちなみに、もしボードーの病院で腫瘍が発見されず、予定通りスリーブ状胃切除術を受けていた場合、手術中に腫瘍が破裂する可能性もあったという。トーマスさんは「ボードーの医師は救いの天使だよ」と語った。皮肉なことに、長年使用していた糖尿病の薬が腫瘍を大きくさせていたことを後から知り、「私の腫瘍は薬を餌にして大きくなったそうだ。本当にワイルドだよね」と述べていた。
なお昨年9月、トーマスさんは北ノルウェー大学病院とトロムス県の医師らを相手に「巨大で致死性のある腫瘍を発見できなかった」として訴訟を起こした。しかし、脂肪肉腫が非常に稀であることなどを理由に訴えは却下されており、弁護士を通して異議申し立てを行った。
誤診と言えば2023年、かかりつけ医に7年間「ただの肥満」と診断されていた英ウェールズに住む女性の腹部から、41キロを超える嚢胞が摘出されていた。
画像は『Dagbladet 「Sluttet ikke å vokse: Bildene ryster: – Vanvittig」(Foto: privat)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)