スコットランドのハイランド地方で愛されていた野生のシカが、観光客からもらったエサが原因で安楽死となった。クロワッサンなど不適切な食品を度々口にしていたことにより歯を失い、自力での食事が困難になってしまったという。地元の自然保護団体が獣医と相談し、福祉的な観点から安楽死を決断したそうだ。英ニュースメディア『Metro』などが伝えている。
スコットランドのハイランド地方に位置するトリドンには、地元住民に“カラム(Callum)”と呼ばれて愛された雄のアカシカがいた。同地域の山「ベン・エイ(Beinn Eighe)」の駐車場によく姿を見せたカラムは、人を怖がらなかったため観光客の間でも有名になり、頻繁に“おやつ”をもらうようになった。
観光客はニンジンやナッツなどを与える一方で、クロワッサンやシリアルバーなどカラムにとって不適切な種類の食べものも与えていた。この状況を受け、駐車場や近くの歩道には、カラムの写真とともに「私に餌をやったり、近づきすぎたりしないでください!」という看板が設置された。しかし、フレンドリーなカラムを見た観光客は、看板を無視してエサを与えていた。
人間の食べものを口にし続けたカラムは、ほとんどの歯を失ってしまい、その結果、観光客の少ない冬の間に自力でエサを食べるのが困難になっていた。
本来の食料である草や木の芽を食べるのが難しくなったため、ジャンクフードや地元住民が冬に与えていた干し草に頼るようになった。しかし、干し草は馬や牛などの家畜には適しているが、アカシカは消化器系が異なるため、