約5か月後の今年8月23日に孵化して子ザメが誕生した。
しかし、産卵したサメは同園で飼育を開始してから一度もオスと一緒に過ごしたことがなかった。「飼育開始前にオスと交尾していたのでは?」とも考えられるが、同園にやってきた当時はまだ3歳だった。マモンツキテンジクザメは7歳前後で性的に成熟するため、過去にオスと交尾をしていた可能性は低い。
今回のように、本来オスと交尾をして子を作る有性生殖を行う生物が、メスのみで子を作ることを“単為生殖”と呼ぶ。単為生殖は無脊椎動物ではよく確認されるが、サメを含む脊椎動物ではあまり見られないという。交尾をせずにマモンツキテンジクザメが単為生殖を行ったケースは、「アメリカ動物園水族館協会(Association of Zoos and Aquariums)」に認定された施設では2例目ということだ。
1例目はマサチューセッツ州ボストンにあるニューイングランド水族館(New England Aquarium)で確認されており、今回ブルックフィールド動物園で単為生殖を行ったメスのマモンツキテンジクザメは、ニューイングランド水族館で誕生した個体だった。
単為生殖で誕生して生後2か月となった子ザメは、現在体長5~6インチ(約12.7~15.2センチ)に成長し、成体になると2.5~3フィート(約76~91センチ)の大きさになる。子ザメはカラフトシシャモやイカの触手など、細かく刻んだシーフードを良く食べて育っており、現在は一般公開されている。
ブルックフィールド動物園で動物飼育スペシャリストの主任を務めるマイク・マセリスさん(Mike Masellis)は、「単為生殖で誕生した子ザメは非常にデリケートであるため、ニューイングランド水族館で働くスタッフに子ザメの適切な世話をするための情報を教えてもらっています」とコメントしている。
今回のニュースを見た人々からは、「自然って本当に不思議だよね」「これは興味深い」「生命は生きのびる方法を必ず見つけるんだね」など驚きのコメントが寄せられた。
ちなみに今年7月には米オハイオ州で、オスだと思われていた動物園のゴリラが出産し、飼育員を驚かせていた。
画像は『New York Post 2023年11月7日付「Shark at Chicago zoo gives birth — without ever having contact with a male」(Jim Schulz / CZS-Brookfield Zoo)(CZS-Brookfield Zoo)』『Blog | Columbus Zoo and Aquarium 2023年7月19日付「A Gorilla Birth Brings Two Surprises for the Columbus Zoo」』『AL.com 2022年7月18日付「Spotted eagle ray flies into boat at fishing rodeo, sends Alabama woman to ER: ‘We were both in the wrong place’」(Courtesy of April Jones)』『Mississippi State University Marine Fisheries Ecology 2023年4月24日付Facebook「What happened?」』『ND Mais 2023年3月29日付「‘Superporca’ dá à luz 41 leitões em granja no interior de Faxinal dos Guedes」(Foto: Reprodução/Portal Faxinal /ND)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)