ケニア南西部「マサイマラ国立保護区」で先月、まだへその緒がついたままのカバをくわえて振り回し、水面に叩きつけるナイルワニ(クロコダイル科)の姿が捉えられた。当時の動画は先月15日、野生動物写真家によってSNSに投稿され、今月になって科学ニュースのウェブサイト『Live Science』などが伝えて話題となっている。
ケニア南西部「マサイマラ国立保護区」を流れるマラ川で先月、野生動物写真家のフランキー・アダムソンさん(Frankie Adamson)がナイルワニの“デスロール”シーンを捉え、注目されている。
デスロールとは、ワニが獲物をくわえて頭を回転させ、骨を砕いて肉を引き裂く必殺技で、このたび餌食になったのはまだへその緒がついたカバだった。動画では、大型ワニが赤ちゃんカバの後ろ足をくわえているのが見て取れ、顎を突き上げると頭を大きく振り、カバを水面に叩きつけている。
マラ川のほとりに位置するサファリツアー運営会社「ガバナーズ・キャンプ・コレクション(Governors’ Camp Collection)」の駐在カメラマンとして、今年7月から10月末までの滞在を予定しているフランキーさんは当時、同僚から連絡を受けて川に向かったそうで、その日のことをこのように振り返った。
「私が駆けつけた時、ワニはすでに赤ちゃんカバをくわえていました。カバが死んでいたのは確かで、へその緒はついたままでした。ただワニが赤ちゃんを殺したのか、それとも死産で母に捨てられた死骸を奪ったのかは分かりません。」
「周囲に他のカバは見当たらず、ワニは当初、水の中でジッとして死骸をくわえていました。ところがナマズが寄ってきたことで冷静さを失い、死骸を宙に振り上げ、荒々しく水面に叩きつけ始めたのです。」
「私が観察していたのは45分ほどでしたが、ワニが死骸を食べることはなく、そのうちそれをくわえて川の中に消えていきました。」
成体のナイルワニは、大きいもので体長5メートルほどになり、