エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】櫻井翔「『稲中』がバイブル」が発するジャニーズ事務所退所のシグナル

櫻井がVTRで今後のジャニーズ事務所について「今までの価値観を否定して、全く違う組織になっていくんだという決意を感じた」とようやく、「どのようなことが起こっていたのか」を認めたうえで言葉を発した。

ジャニーズ事務所に所属するタレントのCM契約の今後は、控えめに言って暗澹たる状況だ。サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏は、自身が代表幹事を務める経済同友会の12日の定例記者会見で、「真摯に反省しているのか大いに疑問だ」とジャニーズ事務所の姿勢について事実上明確な「NO」を突きつけた。19日に行われた経団連の会見では、十倉雅和会長(住友化学株式会社代表取締役会長)が、故ジャニー喜多川氏による性加害を「児童虐待、犯罪行為」と断罪している。

ジャニーズ事務所からの「タレント流出」も加速度を増している。2022年10月にはジャニーズアイランド社長を務めていた滝沢秀明氏が退所し、2023年3月に新会社「TOBE」を設立した。2023年にはKing & Prince平野紫耀神宮寺勇太、岸優太が5月22日をもってグループを脱退。岸は9月30日をもってジャニーズ事務所を退所する予定だ。V6の三宅健が5月2日をもって事務所を退所すれば、5月25日にはジャニーズJr.内の7人組ユニット・IMPACTorsが「卒業」、Kis-My-Ft2の北山宏光は8月をもってグループを卒業および事務所を退所した。しかも平野紫耀、神宮寺勇太、IMPACTors(IMP.に改名)、三宅健、北山宏光、さらに元ジャニーズJr.の大東立樹が「TOBE」に合流して所属アーティストとして活動している。それぞれ退所した理由は不明とされてはいるが、ジャニーズ事務所に見切りをつけ、藤島ジュリー景子氏に「三下り半」を突きつけたことは想像に難くない。

では、櫻井翔はどうか? 現在のところ櫻井がCM出演しているアフラック生命保険は、ジャニーズ事務所との広告契約を終了する意向を打ち出しながら、今後は「櫻井個人」との契約に変更することを検討しているという。

事ここまで至れば、櫻井翔にとって「ジャニーズ事務所」という看板は、足枷、背負わされる十字架でしかないのだ。櫻井翔がジャニーズ事務所からの「脱出」を考えているであろうことは当然の成り行きだ。すでに決断はなされ、あとはタイミングを待っているだけと考えるほうが自然である。

こうして腹をくくったであろう櫻井が、ジャニーズ事務所の不文律に反旗を翻すことになんら不思議はない。

ここで前述の、櫻井の「バイブル」について思い出して欲しい。以前から『稲中』について語ったことはあった櫻井だが、ここにきて迷いなく番組スタッフをも巻き込んで、下ネタ満載のこの作品を「何回読んだことか」と公言し、自分にとっての「バイブル」=「権威ある価値の高い書物」だと自らの冠番組で語った。

一見、バラエティのなかでの一お笑いエピソードに過ぎないように見える。しかし、お下劣路線は許されず、下ネタなどもってのほか、これを冒せばタレントにとっては命取りにもなったジャニーズ事務所の「超高潔」、「超清高」なる志。『稲中』は絶対に彼らの世界線とは相容れない。

ちなみに櫻井がバイブルとしてもう1つ挙げた作品が、少年院を出所した若者たちの人生を描いた『RAINBOW-二舎六房の七人-』(原作・原案など安部譲二/作画:柿崎正澄)だ。『RAINBOW-二舎六房の七人-』では、少年たちが看守や大人から酷い仕打ちを受ける姿が描かれる。

『RAINBOW-二舎六房の七人-』については、ゲストの山田涼介(Hey! Say! JUMP)が好きなマンガとして紹介したのだが、櫻井は「僕も2つ(『稲中』と『RAINBOW』)挙げていたのに、スタッフが『稲中卓球部』を選んだ」と明かして笑いを誘った。

ジャニーズ事務所が前世代の遺物となりつつある今に至っても、現在所属中のタレントが自らの意志や覚悟を発信する方法は、暗号のように読み取りづらく、囁きよりも小さな声でしかない。

たかがマンガと言うなかれ。『稲中』は櫻井翔のジャニーズ事務所への緩やかな反旗の翻しであり、小さくはあるが独立へ腹をくくったことの意思表示に一役買ったのだ。

画像は『Google Earth (C)2023 Google』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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