迅速に現場へ駆けつけて傷病者へ応急処置を施し、また病院への搬送を行う救急隊員は、緊急時に全幅の信頼を寄せる存在だ。ところがイギリスのある救急隊員はその立場を利用し、亡くなった患者の家で盗みを働いていたことが発覚した。室内に設置していたカメラが犯行の瞬間を捉えており、この救急隊員は執行猶予付きで18週間の実刑判決を言い渡されたという。イギリスの公共放送『BBC』などが伝えた。
事件が起きたのは昨年6月29日、救急隊員のマーク・タイトリー(Mark Titley、58)は通報を受け、英ウェスト・ミッドランズのシュルーズベリーにあるバーバラ・ドラジェさん(Barbara Drage)の自宅へ急行した。バーバラさんは自宅の庭で倒れてしまったそうで、マークを含めた4人の救急隊員が現場に到着して救命処置を行った。20分ほど懸命に対応したが、残念ながらバーバラさんの死亡が確認された。
問題はその後にあった。バーバラさんの自宅の一室に設置されたカメラが、マークがひとりで部屋に入ってくる様子を捉えた。マークは正面にあったサイドテーブルに歩み寄ると、迷うことなくテーブルの上にあった小さな箱に入っていた現金を物色し始めた。そしてお札を数えて何枚かを箱に戻し、残りを折りたたんでポケットに入れてしまったのだ。
その後、室内を見渡したマークは、カメラが設置されていることに気付いた。犯行の一部始終が記録されていることを察したマークは、すぐさまポケットに入れた現金を取り出し、元の場所に戻した。亡くなったバーバラさんの息子であるマイク・ドラジェさん(Mike Drage)がカメラの映像を見てマークの犯行を知り、地元警察に通報したという。
マークは当初「蘇生不要の意思表示の書類を探そうとしていた」「ご家族のために現金を守ろうとした」などと話して犯行を否認したが、