残りの時間をアレクサンドロス君の望みを叶えるために使うことに決めた。アレクサンドロス君はナイアガラの滝にあるモンスターがテーマのお化け屋敷に行きたいと強く望んだが遠出ができるほど容体は良くなかったので、ニックさんたちは自宅近くで少し早いハロウィンパーティを行い多くの人にモンスターの仮装をして集まってもらう計画を立てた。
一家の親しい友人であるパウラ・ツアナキス・アンダーソンさん(Paula Tzouanakis Anderson)は、地元のFacebookグループに「一刻を争うお願いがあります。この夜を怖くて素晴らしい夜にするためにボランティアが必要なのです。アレクサンドロス君のために仮装して通りを歩いてくれる人、車をデコレーションしてパレードに参加してくれる人が必要です。本当に時間がないのです!」と投稿した。
この投稿はすぐに拡散され、事情を知った人々からコメントが届き、パウラさんは「300人ほどは来てくれるだろう」と予想した。想定より多くの人が集まりそうなので、パウラさんはアレクサンドロス君の家の前のアーガイル・ストリートをその時間だけ通行止めできるよう市役所にかけ合った。
そして開催日の先月14日、開催時刻の午後6時半が近づいてくると徐々に人がやってきて、最終的に約1000人がアレクサンドロス君のためにモンスターの仮装をして集まった。このイベントをFacebookで呼びかけたのは数日前と急なことだったが、人々は短い時間で仮装の準備をして駆けつけてくれたのだ。
アレクサンドロス君のために集まったのは仮装した人々だけでなく、ハミルトンの警察や消防、ボランティアのフェイスペインター、綿菓子やポップコーンの販売会社、ハロウィンの飾り付けをした何台ものスポーツカーなども集まり、賑やかで立派なイベントとなった。またアレクサンドロス君が好きなアニメ「パウ・パトロール(Paw Patrol)」に出てくるお気に入りキャラクター「ラブル(Rubble)」も会場を訪れ、ハグをしてアレクサンドロス君を喜ばせた。
パウラさんは「大きなイベントになりそうだとは思っていましたが、ここまで大きくなるとは…。あまりに素晴らしく、涙が出てきました。アレクサンドロス君は1人1人に手を振っていて、自分のために集まってくれたと分かっていたようでした」と当時を振り返った。
またこのイベントでは、アレクサンドロス君のために募金活動も行われた。アレクサンドロス君と最後の時間を過ごすために仕事を何日も休む予定のニックさんは、「これほど多くの人が協力してくれるとは思ってもいませんでした。言葉にできないほど素晴らしいです。このような地域に住むことができて本当に恵まれていると思います」と協力してくれた人たちに感謝の意を示した。
画像は『TODAY 2022年9月22日付「More than 1,000 strangers throw early Halloween bash for boy, 5, with terminal cancer」(Courtesy of Nick Parry)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)