「世界自然保護基金(WWF)」によると、昨年末から今年の初めに起きたオーストラリアでの森林火災では1900万ヘクタールが焼失した。これは過去最悪の野生動物災害の1つとされており、哺乳類や鳥類、爬虫類など30億匹もの動物が被害を受けたという。火傷を負った動物たちは今も後遺症に苦しんでおり、そんな動物たちを救うために獣医らが立ち上がった。『news.com.au』などが伝えている。
リース・ドノヴァンさん(Rhys Donovan)とマット・ブリーズさん(Matt Breeds)はカイロプラクティックやオステオパシー医学を学び、それぞれ病院で20年ほど医師として活躍していた。その後、これまでの知識や経験を生かして動物を相手に働くために通った大学院で2人は出会い、2018年に豪ニューサウスウェールズ州シドニーにて動物病院「Animal Rehab Klinik」を開業した。この動物病院ではペットを中心に治療を行ってきたが、2人は昨年末の森林火災で傷ついた野生のカンガルーに目を向けた。
リースさんによると、きっかけは同僚2人から「森林火災でケガをした動物たちに手を差し伸べよう」と誘われたことだったそうだ。実際にリースさんは、森林火災の惨状を見て衝撃を受けたと言い「生き残った野生動物たちを治療し始めて、とてもやりがいを感じています」と語っている。
リースさんは、手足に火傷を負い回復の途中にあるカンガルーにレーザー治療を行うことにした。痛みはほとんど無いというレーザー治療は特定の光の波長を用いており、治癒を促進させ、痛みや腫れを抑えて血行を良くし、炎症の抑制などが見込めるという。
しかしレーザーが直接目に当たってしまうと失明の恐れがあるため、