―他にも犬と暮らして感動したエピソードはありますか?
浅田:犬で感動したことはいっぱいありましたね。犬には感情がありますからね。そのなかでも母が亡くなったときに病院から遺体として家に帰ってきたのですが、当時飼っていた犬2匹が挨拶したのを覚えています。まずお兄ちゃん犬がそばに行って、「フンフンフン」と何かしゃべりかけて、その後もう一匹が同じことをして。その後は一切近寄りませんでした。お別れをちゃんとしたんだと。あれはすごいなあと思いましたね。泣きました。
■保護犬を引き取る方がかっこいい
―現在、浅田さんは動物に関してどのような活動をなさっていますか?
浅田:頼まれて講演もしています。人に伝えていくには自分が現場を知らないといけないと思うので、レスキューに同行もします。この間も(岐阜県)多治見市の悪徳ブリーダーのところにレスキューに行きましたが、とにかく臭い。フンだらけでピンク色のネズミの小さい子どもがムニュムニュいるんですよ。保健所の職員を呼んだり、きれいに掃除したりもしました。
―犬と暮らす人々が将来的にどのようになるといいでしょうか?
浅田:(保護犬の)里親になるということがもっと普通になったらいいと思うし、保護犬を引き取る方が、何百万円の犬を買うよりもかっこいいんだという風潮にしていかないといつまで経ってもペットショップはあるし、需要と供給が変ですよね。これだけ殺処分されているのにこんなに産ませるなんて。今はペットショップよりも保護犬を引き取る方が、トライアル期間(※)がある、病気も分かる、いろいろ分かるから一番いいと思うんですよね。犬種もペットショップのようにチワワ、トイプードル、ミニチュアダックス…いろいろいますよ。(※トライアル期間:動物保護団体から保護犬を譲り受ける場合に、設けられていることが多い「お試し飼育期間」のこと。実際に自宅で飼育してみて正式に飼えるか否かを決めることができる。)
■動物を飼うときには覚悟が必要
―近年、高齢の飼い主が亡くなり、センターに連れてこられる犬も増えているようですね。
浅田:自分の年齢と犬の寿命をちゃんと計算しないと、残された子がのちのちかわいそうです。私も今だったら(現在63歳)子犬は飼いません。動物を飼うことはお金もかかるし、自分の時間も減るし、そういうことをきちんと覚悟して飼わないとダメですね。
―そのような大変なお世話をして、それでも犬たちと暮らすのはなぜですか?
浅田:大変だけど、やはり日々楽しいです。一人暮らしが寂しいから?(笑)、そんなこともないけど、楽しいですね。(愛犬との散歩で)歩くので健康面でもいいはずですし、仕事関係ではない同じ目的の人たちと仲良くフランクな付き合いもできていますね。
■「次に飼うときは保護犬にしよう」となってくれたら…
―ところで9月23日に開催されるイベント「いぬねこなかまフェス2019」に出演されるそうですね。
浅田:このイベントは今年6回目になりますが、毎年続けることに意味があると思います。このフェスはライブやトークショーもありますし、見てて飽きないですね。自分も他の人の話を聞いて勉強になりますし、出演者自身が楽しんでやっているのがいいです。「面白そうだから行ってみようか」という感じで、動物愛護を知らない人にこそもっと来てほしいです。そして「次に飼うときは保護犬にしよう」となってくれたら一番いいですね。
飼い主が自ら飼育を放棄したり、飼い主が不明のため殺処分された全国の犬や猫は、平成29年度で犬8,362頭、猫34,854匹にも及ぶ(環境省自然環境局調べ)。一方でそのような犬や猫(保護犬や保護猫)の新しい飼い主となることも可能だ。犬や猫を新しく迎える際にはぜひ保護犬や保護猫という選択肢を入れてほしいと強く願う。
■「いぬねこなかまフェス2019」
日時:2019年9月23日(月・祝) 17時開演
会場:昭和女子大学 人見記念講堂(東京都世田谷区太子堂1-7-57)
出演者:akiko / 浅田美代子 / 糸井重里 / スティーヴ エトウ / 大槻ケンヂ / 坂本美雨 / 鈴木杏 / 椿鬼奴 / 富樫春生 / 友森昭一 / 友森玲子 / 町田康 / 水越美奈 ほか(五十音順)
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)